出版社内容情報
砧が黄金期へ歩み始めるその年、ぼくは助監督に採用された。黒澤明、岡本喜八、武満徹、団令子ら綺羅星たちとの交流を今振り返る
内容説明
表現者のスクランブル交差点―撮影所は、監督、俳優、職人、脚本家、小説家、音楽家、製作者…さまざまなクセ者が棲息する桃源境だった!「砧」と同い歳の名匠による映画史・自分史、遂に成る。
目次
第1章 徒弟制度の名残りの中で(撮影所との出会い;はりきり助監督走る ほか)
第2章 試行錯誤の日々(新人監督誕生;「社会派」のレッテル ほか)
第3章 斜陽産業の工場で(『あこがれ』ヒットする;東宝流(?)…『伊豆の踊子』 ほか)
第4章 「撮影所の時代」終る(戦時下の日々;敗戦 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まぶぜたろう
5
前半は恩地日出夫の東宝入社から70年代前半まで。自作に関する記述が面白いのは当然だが、当時の東宝にあって黒澤の力がいかに大きかったのかがわかる。恩地は如才ない人のようで、顔も広く、仕事も多岐にわたっていたことも意外。■後半は著者の体験していない、戦前から戦後にかけての東宝砧が描かれていて、むしろ著者はこれを書きたかったんじゃないか■一番笑ったエピソード、「このトイレで黒澤さんと高峰秀子は愛を交わしてたんだ」と照明部の親父から聞かされる恩地。そっかトイレでやってたのかぁ巨匠、と。2019/06/22
Mitsuhito Shiraha
0
恩地監督の存在は映画よりも先に東京12チャンネルの深夜番組の司会者として認知していた。世代的にも東宝時代の作品は観ておらず、監督として強く印象に残ったのはテレビドラマ「吉展ちゃん事件」が初めてだった。本書によると1979年。 淡々とした筆致で綴られる東宝砧の栄枯盛衰。 某女優との恋のエピソードだけが生々しく熱く、胸に迫る。2020/09/13