出版社内容情報
何も演奏せず、何も歌わないのに、賞賛の拍手を独占する男──それが"偉大なる指揮者"である。二十世紀の巨匠神話を解剖する問題作
内容説明
フルトヴェングラー、トスカニーニ、ワルター、カラヤン、バーンスタイン…彼らがめざした権力と栄光の歴史から、その夢と挫折をめぐる神話を分析する。“偉大なる指揮者”たちへの大いなるレクイエム。
目次
神話はこうしてつくられた
ピエロの涙―指揮者としての作曲家、およびハンス・フォン・ビューローの個人的悲劇
正直者ハンスと魔術師―ニキシュとリヒター
オペラハウスの巨匠たち―マーラーとシュトラウス、ワルター、クレンペラー
独裁者に直面して―トスカニーニ対フルトヴェングラー、ソヴィエト・システム
カラヤンの場合―カラヤン、ベーム
飢えたる人々と不在貴族―クーセヴィツキー、小沢、ストコフスキー、プレヴィン
ロンドンのグレムリン―ビーチャム対バルビローリ、ショルティ、ハイティンク
指揮もする作曲家の挫折―バーンスタインとブーレーズ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もよ
12
実質的な最終章の16章が衝撃的でした(知らなかった)。クラシック音楽全体の商業的な要求にとらわれ過ぎている傾向や、個々の指揮者・オーケストラの置かれている状況に関して何となく感じていたことがはっきり書かれていて納得。すばらしい力作です。この著者の他の本をぜひ読みたい。 翻訳は今一つで意味が通じないところも散見され、とても残念。「誰がカラヤンを帝王にしたのか」って副題がついてるけど、これはブラックジョークかな。 また、数多く登場する指揮者や作曲家の名前に思い至らない人には読み通すのは辛いかも。2015/10/03
Kei
2
職業としての専門指揮者の誕生から現在までということで、ハンス・フォン・ビューローからラトルまでの錚々たる巨匠達についての良質な暴露本(笑)。著者レブレヒトはイギリスの有名な音楽評論家でマーラー愛好家ですが、なかなか好感の持てる視点をもった人物です。2012/11/17
Hiroshi_Yasuda
1
カラヤンに限らず、ビューロー以降、オーケストラ・ファンなら誰でも知っている有名指揮者についての裏話とゴシップ集。しかも結構な毒舌。例えば、テンシュテットは英国では神のように扱われていたが、ドイツでは不人気だったという話では、「ベルリン・フィルから締め出された」「ブラームスのドイツレクイエムは、ロンドンの聴衆を足元にひれふさせたが、ドイツ人は理解せず顔をしかめた」と一蹴する。他にもこういった話が満載で、誰もが抱いている指揮者のイメージが根底から覆される刺激的な著作。
erida
1
打ちのめされるようなすごい本を読んで借りてきましたー 翻訳が読みづらかった……特に前半。 指揮者の誕生からギャラがオケを圧迫するまで カラヤンを中心にした指揮者列伝な感じでした。 16章に黒幕としてロナルド・ウィルフォードの名前があがってる。 とりあえずぐぐってみたけどあまり面白そうな情報はなかったかな(笑)2009/03/25