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出版社内容情報
毒殺された女性は五人。一審で無罪となった「犯人」は最高裁で死刑が確定する。しかし警察の捜査はズサンきわまりないものだった
内容説明
一九六一年春、三重、奈良両県にまたがる小さな部落で惨劇が起きた。寄り合いの席上、ブドウ酒を飲んだ女性五人が悶死したのだ。警察は奥西勝を犯人として逮捕したが、一審は証拠不十分などを理由に無罪判決を下した。しかし、二審の名古屋高裁は一転して死刑を宣告し、最高裁も奥西の上告を棄却した。警察の取調べに対する関係者の供述には矛盾が目立ち、ブドウ酒の瓶の王冠についていた歯形が奥西のものだとする鑑定も疑問だらけだった。しかし、死刑判決が確定したのである。数度にわたる再審請求もことごとく退けられ、奥西は獄中で命を奪われる時を待っている。彼の死刑が執行されるなら、名張毒ブドウ酒事件の犠牲者は六人となるのだ。捜査のズサンさと死刑判決の独善性を徹底的に追及した傑作ノンフィクション。
目次
第1章 事件
第2章 大家族
第3章 証言
第4章 自白
第5章 天国と地獄
第6章 再審の扉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
78
60年以上前の事件と加害者とされた方が亡くなっtいるので真実は結局闇の中。この頃はこういう事件があちこちで起きていたようだ。警察組織や科学的な検証が十分確立されていない時代だったのも一因みたいだが。読んでいると消去法で考えてゆくと加害者は絞られるのだが、住民たちの記憶や証言のブレで結果的に被告とされた男性は死刑が確定された。冤罪事件として今も高齢の妹さんが頑張ってらっしゃる。日本の司法制度は、再審請求ということについては門前払い的な態度と時間がかかり過ぎ。詳細は関連のネット記事も併せて読んだ方がいいかな。2025/03/01
K_apela
3
図書館。この事件には大変興味があり、不可解な点ばかり。裁判の行方も気になっています。本当にとんでもない事件です。2015/04/19
シサキ
2
「隠密捜査」読んだ後ってのもあってか、妙に納得しながら読んだ。こういう村社会の良い面も悪い面も、会社とか警察とか学校とかにちゃんと残ってるんだろうな、今も。2011/04/09
zuisei
1
一刻も早く犯人を検挙しなければならない警察と、犯人を確定させて平安を取り戻さなけらばならない地元が共犯になって、奥西を犯人に仕立て上げていく。その経過が克明に描いてある。あまりにも疑問点が多い事件だ。言えることは、どんなに苦しくても、尋問に迎合してやってもない自白をしてはならないということだ。評価4。2022/04/03