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出版社内容情報
毒殺された女性は五人。一審で無罪となった「犯人」は最高裁で死刑が確定する。しかし警察の捜査はズサンきわまりないものだった
内容説明
一九六一年春、三重、奈良両県にまたがる小さな部落で惨劇が起きた。寄り合いの席上、ブドウ酒を飲んだ女性五人が悶死したのだ。警察は奥西勝を犯人として逮捕したが、一審は証拠不十分などを理由に無罪判決を下した。しかし、二審の名古屋高裁は一転して死刑を宣告し、最高裁も奥西の上告を棄却した。警察の取調べに対する関係者の供述には矛盾が目立ち、ブドウ酒の瓶の王冠についていた歯形が奥西のものだとする鑑定も疑問だらけだった。しかし、死刑判決が確定したのである。数度にわたる再審請求もことごとく退けられ、奥西は獄中で命を奪われる時を待っている。彼の死刑が執行されるなら、名張毒ブドウ酒事件の犠牲者は六人となるのだ。捜査のズサンさと死刑判決の独善性を徹底的に追及した傑作ノンフィクション。
目次
第1章 事件
第2章 大家族
第3章 証言
第4章 自白
第5章 天国と地獄
第6章 再審の扉