出版社内容情報
歴代の大ピアニストたちの演奏外での抱腹絶倒の逸話を紹介しつつ、ピアノの世界の現状を浮彫りにする。大宅賞受賞後初のエッセイ集
内容説明
音楽に魅入られたピアニストたちの、すべてが極端で、どこかおかしくて、しかもやたらと大真面目な世界。巨匠たちの「奇行」「伝説」渦巻く悲喜劇が、不思議な哄笑と感動を呼ぶ。名ピアニストが描く「わが部族」の自画像。文芸春秋読者賞受賞作。
目次
ホロヴィッツが死んだ
6フィート半のしかめっ面
神よ、我を許したまえ
女流探検家として始まる
タイム・トラベラーの運命
音楽が人にとり憑く
久野久を囲んだ「日本事情」
最初の純国産ピアニスト
ピアニッシモの残酷
鍵盤のパトリオット
カンガルーと育った天才少女
銀幕スターになったピアニスト
キャンセル魔にも理由がある
蛮族たちの夢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
9
ホロヴィッツの家庭事情やラフマニノフの手の大きさなど、アネクドートの筆法かと思ったが、幸田延や久野久など明治の西洋音楽導入時の女性音楽家の悲劇についてはシリアスな伝記と感じた。日本敗戦後の音楽界再建の芽として才能を花開かせた中村紘子の使命感と自負がほのかに感じられる筆の冴えで一気に読めた。タスマニア出身の野性的なピアニスト、アイリーン・ジョイスの一生を読んで、『蜜蜂と遠雷』の風間塵のモデルではないかという気がした。2017/01/25
黒豆
5
訃報を聞き。図書館で借りて読む。近代ピアニストに関するエピソード満載、例-ホロヴィッツのエピソード、学生がアルバイトで6歳の子供の個人教授を依頼されて行ってみると、父ホロヴィッツ、祖父トスカニーニのいる部屋で指導することになった若者の災難。後半は久野久の話が多く演奏を聞いてみたいと思ったが無理ですね。2016/08/02
peace land
4
以前から読みたいと思っていたのですが、こちらも追悼の読書になってしまいました。芸術家は激しい生活をするということが分かりました。音楽に詳しい人が読んだらとても楽しめるんではないかとうらやましく思いました。明治の西洋音楽導入も大変な苦労があった様子が分かりました。2016/10/16
takao
2
ふむ2019/10/12
massan19
2
さまざまなピアニストたちが登場します。クラシックには疎く人は全然わからなかったけど面白かった。詳しければより楽しめたと思う。ただ、時代が前後ろによくとんだので、いつの話なのか混乱した。どうでもよいが久野久やアイリーン・ジョイスの生い立ちは間違っているらしい。2017/01/04