出版社内容情報
マンガはすでに有力な表現手段として日本社会に定着した。『ちびまる子ちゃん』から『沈黙の艦隊』までを取上げて同時代を考察する
内容説明
この本はマンガをにくむひと、マンガに対して予断を持つひとを読者として想定している。現代マンガを読んだことのないひと、読もうと試みて眼と肌にあわないと感じたひともそうである。多彩多様な現代マンガの輪郭を、批評というかたちをとって明らかにしつつ、日本語表現界にはすでに「マンガ」という分野がたしかに成立しているとだけは認識しておく必要があるのではないか、そう控え目に説得することをもくろんでいる。
目次
「女こども」がこわい 内田春菊『南くんの恋人』
スナドリネコの人生 いがらしみきお『ぼのぼの』
経済マンガってなんなの? 石ノ森章太郎『マンガ日本経済入門』
努力する「破滅型」 柳沢きみお『男の自画像』
適度な不幸はうらやましい 井浦秀夫『やる気のまんま』
「レトロ」にあらず 岡本蛍・刀根夕子『おもひでぽろぽろ』
荒涼たる爽快さ わたせせいぞう『ハートカクテル』
帰りたい風景 宮崎駿『となりのトトロ』
あんまりじゃないか、これは―紋切型「マンガ論」について
日本人とはなにものか 手塚治虫『グリンゴ』
手塚のほかに神はなし―追悼手塚治虫
回顧的空気の今日性 さくらももこ『ちびまる子ちゃん』〔ほか〕