出版社内容情報
ヒトはいつ死体にされるのか。脳死はある日、突然やってくる。いまや臓器移植問題ともかかわる。増補改訂して"世紀の問題"を問う
内容説明
脳死とは、見えない死である。脳死とは、暖かな死である。脳死とは、散文的な死である―臓器移植との関連で性急に語られがちな人間の死の重み、かけがえのない生を問い直した労作、ここに増補新版なる。
目次
第1章 和田心臓移植事件
第2章 筑波大病院膵腎同時移植
第3章 脳死状態からの腎臓移植
第4章 脳死とは
第5章 しかし、脳死の現場では
第6章 ICUから
第7章 21世紀に向かって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マイケル
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少々古いのですが、脳死と臓器移植に興味のある人に是非読んで欲しい本。特に和田心臓移植と筑波大病院膵腎移植について、病院へ運び込まれた時間、脳死判定時間などの時間経過について詳しく書かれており、まるでミステリーのよう。ICUという密室での脳死判定の問題が色々な面から指摘されており、「臓器移植」を最優先とした考え方には違和感を感じます。著者は「見えない死」という言い方をしていますが同感です。脳死臓器移植は「功利主義的密室殺人事件」だと思います。レシピエントが移植後に拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤の問題も指摘。2019/11/06