出版社内容情報
東独の政治犯を西独政府が買上げるこの制度の背後に、どんな事情が隠されているのか。政府、教会、諜報機関、それぞれの思惑のかげの国際政治の強烈なリアリズム
内容説明
西ドイツ政府が毎年、東ドイツの政治犯を買い入れ、その代金が外貨不足に悩む「東」を潤していることをご存知だろうか。「東」から「西」への脱出希望者は多いが、「東」政府はなかなか認めようとしない。両者の間では死力を尽した知恵比べが行われており、脱出希望者を「西」に運んで金儲けをたくらむ「助け屋」「持ち掛け屋」等も出現してきた。彼らの背後に見え隠れするのは、東西の情報機関のカゲである。「東」からの脱出に失敗した者は「政治犯」となり、やがて「西」に買われることになる。つまり「東」政府は脱出希望者を政治犯に仕立てることで、外貨稼ぎの資源にしているのであり、したがって何人の政治犯を売渡すかは「東」の経済事情で決まるのだ―。分断国家ドイツの悲喜劇を描いて、戦後日本がいかに幸福な40年を過してきたかを痛感させるノンフィクション。
目次
第1章 キンスキー夫妻の場合
第2章 「自由買い」の定説
第3章 「教会」の立場
第4章 なぜ逃げたがるのか
第5章 「助け屋」と「持ち掛け屋」
第6章 「西」のディレンマ1―難民問題
第7章 「西」のディレンマ2―賢兄愚弟の悲劇



