出版社内容情報
政治力学の高等戦術から日常些事における個人の行動様式にいたるまで、古今にわたる日本人の思考タイプを分析した画期的日本人論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
17
1972年刊行。イザヤ・ベンダサン著・ 山本七平訳として出された。山本七平の思想に関心があるので読んだ。この本では「日本」「日本教」についての議論が展開される。日本とは、一種の天秤の世界。皿の方にのっているのが「実体語」世界で、分銅になっている方が「空体語」世界。二つの世界のバランスをとっている支点が「人間」だという。この論理で、三島由紀夫自決などの具体的な事例を分析していく。今日でも興味深い。朝日新聞・本多勝一記者との論争は、当時の時局の要請だったのだろうが、今となっては力を入れすぎたと感じられる。 2022/01/27
横丁の隠居
2
再々読くらいであるが、この示唆に満ちた隅から隅まで面白い本が、古書でしか手に入らないというのは残念なことである。だれかこの本の内容をもっと新しい事案に適用しなおして書き直してくれないだろうか。令和になっても「日本教」は健在だし、ベンダサンさんのロジックは充分に通用するものだとおもうのだが。何度も読んでいると以前ピンとこなかったことがわかるようになってくる。今でも日本人は空体語を積み重ね、踏み絵で相手を判断し、「お前のお前」の関係を希求し、そして「人間」と「自然」に絶対的な価値を置いている。2024/10/27
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