出版社内容情報
19世紀ロンドンの闇に潜む殺人者。彼が抱くのは壮大な復讐の計画だった──イギリス出版史上最高額で競り落とされた華麗なる大作。
内容説明
ロンドンの街の底を歩み、法律事務所のために裏仕事を請け負う男エドワード・グラプソン。英才と謳われ、名門イートン校入学を果たした男が、なぜ暗闇の街路で刃を握り締めるに至ったのか。その数奇なる半生が、いま語られはじめる。第二十五代タンザー男爵ジュリアス・デュポート。エドワードの実の父親は、この男爵かもしれない。母の遺品からそのことを知ったエドワードは、己の素性を隠し、裏稼業で知った手管を駆使して、父子関係の証拠を探しはじめた。だがやがて、男爵の寵愛を受ける若き詩人フィーバス・ドーントが姿をあらわす。ドーントこそが、かつてエドワードをイートン校放校に陥れた仇敵であった…。
著者等紹介
コックス,マイケル[コックス,マイケル][Cox,Michael]
1948年、イギリスはノーサンプトンシャーに生まれる。1971年、ケンブリッジ大学を卒業。1989年よりオックスフォード大学出版局にて編集者として勤務。『夜の真義を』は2006年に刊行された初めての長編小説。2009年に死去
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961(昭和36)年、石川県生まれ。東京大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
37
(辛口感想です)一人の男が路地裏で偶然、見かけた赤毛の男を殺害した理由は実験だったという衝撃的な出来事から始まる、本来ならば手に入れる筈だったものを卑劣な仇敵によって奪われた男の復讐譚。プロットは綿密なのですが、主人公に感情移入できないのは、悪側の様子の描写が全て主人公の中で評価されており、主人公も復讐をするには手ぬるすぎて、諦めて新たな道を見出すには視野狭窄ぶりが鼻につくからだ。そのため、残念ながら帯の言葉は誇張しすぎが否めない。因みに復讐小説の傑作は『モンテ・クリスト伯』だと私は思う。 2013/10/21
しゃお
18
購入したのはいいけど読むのに尻込みして7年半も寝かせてました。読んでも読んでも進まない気がしましたが、上下組で600ページで重厚でありながらも読みやすく、注釈をあまり気にしなければ意外にすいすい読めるような気も。見ず知らずの他人を自身が復讐を果たす為の道具として殺害する主人公には感情移入しにくかったですが、それでもいつしか主人公が復讐を果たさんと応援したくなりました。仇敵のフィーバス側の視点もあるとより深い物語になったかも知れませんが堪能いたしました。続編ももし翻訳されたら読んでみたいです。2018/11/20
Betty
15
19世紀のロンドン。大好物要素満点。出生の秘密と自分を陥れた人物への復讐心で生きていいる主人公。主人公を含め登場人物にキラリとしたキャラ設定が弱く、世界観と作者の思い入れをたっぷり織り込みボリュームのある作品でした。終始感じたのは「興味は削がれないけれど、どこか退屈。」秋の夜長。自由な時間があるのんびりした長期休暇時に読むともっと感情も入れて読めたかもしれない。慌しい年末には向かない1冊でした。2011/12/25
ホースケ
13
かれこれ10年以上も積んでいたが、いい具合に熟成されて(笑)、今が読み時と本を開いた。1854年のロンドン、 ある男が殺される場面から始まる物語にミステリー小説だと思い読み進むと、そこまでに至る壮大な告白文が延々と続く。途中、これって実話?いやいやフィクションだよねと思わせるあたり著者の術中にまんまとはまってしまった感があるが、凄いものを読んだなぁというのが率直な感想だ。主人公エドワードの揺るぎなき復讐心のわりには脇の甘さが気になったりはしたが、とにかく訳が素晴らしい。文章の読みやすさに随分と助けられた。2022/10/30
まど
13
二段組600ページ!長かった~。半分の長さにおさまったのではないだろうか。でもそうすると重厚な雰囲気が壊れてしまうのかな。後半の怒涛の展開が面白かったけど、色々つっこみたくなる最後だった。2011/07/10