出版社内容情報
大正末期、旧制中学に通う少年は創作への夢を抱き、児童文学の現場で活躍する若者たちと親交を持つ。文化薫る著者の父の評伝風小説。
内容説明
若者たちの思いが集められた雑誌「童話」には、金子みすゞ、淀川長治と並んで父の名が記されていた―。創作と投稿に夢を追う昭和の青春 父の遺した日記が語る“時代”の物語。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年、『空飛ぶ馬』でデビュー。91年、『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞。2009年、『鷺と雪』で直木賞受賞。アンソロジーのシリーズにも腕をふるう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
75
民族学者で高校教師だった作者の父親宮本演彦の生涯を描いた三部作。三部作の第一巻である本書は、童話創作に熱中した中学時代から、慶応予科に入学し、後に師事することになる折口信夫を初めて見かけたところまでが描かれている。一目見たときからオーラが違っていたという折口信夫とどのような日々が始まるのか、それは第二巻のお楽しみのようである。2021/03/08
万葉語り
56
北村薫さんが父宮本演彦の日記をもとに、神奈川中学、慶應予科へと進む当時の若者の青春を丹念に描いている。童話の同人誌のメンバーになって創作に励み、友人の薫陶を受けて歌舞伎座に通い詰める。中学生の教養の深さに驚くとともにエリートはこうやって作られるのだと思った。2019-0052019/01/04
ダイ@2019.11.2~一時休止
41
六の宮の姫君と同じような文芸うんちく本って感じ。2014/07/24
baba
30
著者の亡父宮本演彦氏の日記を基に神奈川中学から慶応予科までの交友とのやり取りや歌舞伎に傾倒する姿、投稿していた「童話」にまつわる話しなど昭和初期の暮らしぶりが保土ヶ谷を舞台にしていて知っている地名が頻繁に出て身近に感じ興味がわいて堪能した。それにしても当時の中学・予科は今の高校生位であろうが大人びていて読書量や勉強に取り組む姿が凄い。2018/05/15
そうたそ
28
★★☆☆☆ 残された日記から著者が自身の父の人生を辿るという内容。思っていたものとは違ったなあ……。いつもの北村さんの作品とも少し雰囲気の違う感じ。そりゃよく調べこまれて書かれているし、力も入っている。文章だって巧いな、と思うけど、なぜかひかれるものがない。こんなことを言えば元も子もないのだけれど、そもそも北村さんのお父さんの人生における文学的活動にそれほど関心がないからだろうか。この作品は、作者が自身の親との生活を描いたような私小説的な作品ともまた趣を異にするから純粋な小説的楽しみ方ができなかった。2014/01/09
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- 和書
- 夢七日夜を昼の國