稲穂の海

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 261p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163297002
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

昭和40年代。高度経済成長とそれまでの暮らしの狭間で、生きる喜びと未来への希望を抱くたくましい地方の人間たちを描く短篇集。

内容説明

昭和40年代、宮城県。捕鯨船に乗る漁師たちは捕獲禁止の流れに不安を覚え、稲作農家は減反政策で前途多難な状況を迎える。庶民の暮らしには自家用車が登場し、団地が建てられ、一方で昔話の語りは廃れていく―。不安と期待を抱きつつ生きる地方の人々を描き、現代人の人生を逆照射する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

51
8つの短編。宮城県を舞台にした昭和から現代までの物語。捕鯨を描いた「酔いどれ砲手」、屋台を営む夫婦の物語「屋台《徳兵衛》」、開拓農民の話「桃子」、一人暮らしの母を案ずる「団地の時代」が好きです。土地勘と地元の言葉を分かる人の方が楽しめる1冊ですね。「星空を見ていた夜」は、マイホームタウンで既読。2015/04/23

ぶんこ

49
東京オリンピックの前後の東北の短編集でした。当時都内に住んでいた身としては驚きの連続。以前自分が青春を謳歌していた頃、お隣中国では同じ年頃の若者たちが大変な目にあっていたと知った時と同じ驚きです。生まれ住んでいたところによって、生活環境が大きく異なるというのを実感しました。どの話も純朴で、一生懸命で心が温まる感じです。特に牛の桃子が家族の一員なので、乳のでなくなった桃子を肉牛として売り、苦労をかけた妻に洗濯機を買ってあげるという予定を断念する場面は、シミジミ切ないような、心温まるいい話でした。2016/06/03

りんご

26
高度成長期の東北のお話、かな。短編集。予想より随分と面白かった。若い衆にはあんまし響かないかもしんない、郷愁とか、家督とか、失われる産業、伝承が尊いです。私は農家の娘で、農家は継がれず、3人の子供は自由に仕事を選んで生きてるので、その辺りが揺さぶってくるんでしょうか。昔話の伝承のお話も良かった!「語り手と聞き手が共同作業で紡ぎ出す文芸」だったとは。地方の言葉がまたも良い。自動車が我が家に来るぞの話もたまらなかったなあ。モータースには黒山の人だかり。来賓の祝辞、チンドン屋、僕は蝶タイ、父はモーニング。2021/02/12

あかくま

18
「邂逅の森」に続いて、熊谷作品2冊目を読む。こちらは短編集。舞台は東北の海、山、田、森、街、団地など。どの話を読んでも、東北の人が書いた物語だなあ、と感じる。問題意識、方言、土地勘・・、取材だけで訪れた地、というのではおそらくない「住んでいる人の書いた物語」としてしっかり地に足の着いた感じがして、好感度が高い。ただ、私自身は東北出身なので、この方言には全く違和感がないが、これ、他の地方の読者にはどうなんだろう、と少し心配になる^^;方言でしか表せないニュアンスというのが、かえってマイナスにならないか・・?2013/12/24

B-Beat

18
◎昭和40年代前半における仙台を中心とした東北地方を舞台にそこで「地に根を張るように」生きる人々のエピソード集。計8編。作者が年代的にも近いこともあるのか直木・山本ダブル受賞の「邂逅の森」以来、自分としては世間がどうであれ「自分としてはこの作家さんの作品は気に入っているんだ」との思いの延長線上にこの作品もやはりあったかなと一人納得する読後感。表題作もよかったが「梅太郎」と「屋台『徳兵衛』」が自分には特に心に染みた感じ。2013/04/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/668815
  • ご注意事項

最近チェックした商品