水のまなざし

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163296708
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ピアニストを目指す真琴は、ある日声が出なくなり、学校を休学して田舎に帰るが……多感な少女の心の揺れを透明感あふれる筆致で描く。

内容説明

音大の附属高校に入りピアニストを志す真琴は、風邪をこじらせたことから声帯を傷め、声が出なくなってしまう。熾烈な競争から脱落し、目的を見失った真琴を、祖母をはじめとする「水生」の村の人々が温かく迎えてくれ、田舎の生活は真琴の心を癒していくが…。厳しい父との関係、西洋音楽と東洋的感性の葛藤、少女から大人への変容…ピアニスト、文筆家でもある著者が、多感な少女の心の揺れを、美しく繊細な感覚で描いた青春小説。

著者等紹介

青柳いづみこ[アオヤギイズミコ]
ピアニスト、文筆家。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業、東京藝術大学大学院博士課程修了。1980年東京デビュー。平成2年度文化庁芸術祭賞受賞。著書に『翼のはえた指―評伝安川加壽子』(第9回吉田秀和賞受賞)、『青柳瑞穂の生涯―真贋のあわいに』(第49回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『六本指のゴルトベルク』(第25回講談社エッセイ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小葉

6
不思議な味わい。耳に優しい和音もあれば不協和音もあるという感じ。音大の付属高校に通う真琴はピアニストを目指している。声が出なくなったことは、彼女が「ピアノ」と向き合うために必要なことだったのかもしれない。「ピアノ」を選ぶことの苦しさ厳しさ。読みながら少し息苦しくなる。西洋音楽と日本伝統芸能の違い、声帯のことなど(ex.日本語は喉に悪い)興味深かった。2010/10/17

syachi

4
ピアニストでもある著者による声の出なくなったピアニスト志望の少女の話。キーである楽譜から聞こえる声のオチと主人公の変化はそれを持ってきてどうしたいのかと思ってしまうような…トップになって欲しい親との関係性は生々しいところがあるんだろうなとは思ったけど。2015/02/14

風眠

3
謡と西洋音楽を比較させるところは興味深く読めたが、それ以外はまとまりもなく、結局何が言いたかったのかよく分からないまま終わってしまった。私は音楽教育を受けて育ったので、音楽理論や楽典などの記述でも分かるが、そうではない読み手にとっては不親切な書き方だと感じる。専門用語を使わずに音楽のことを語れていれば素晴らしいと思うのだけれど・・・。読み切るのがちょっと苦しかったかな。2011/05/27

みつ@---暗転。

2
**** ピアニストである著者の描き出す小説には、初めて触れた。音楽専門用語が頻出し、門外漢にはあまり理解できなかったのが残念。藝術は須らく造り手側に、薄暗い部分があるものが魅力的だと。声の出せなくなった音高生の真琴。声帯というエロスが終始絡みつき、楽譜から聴こえてくるハイ・バリトンに囚われている。能とオペラの根本的な違いは興味深く。執着と狂気と淫蕩と背徳と、それらによって解放された真琴。彼女の音が聴けるものなら、聴いてみたい。吐き気のするような過程を経て産まれた音は、どれほど美しいだろうかと空想。2013/08/23

長谷邦夫

1
プロ・ピアニストの書いた初小説ということに ひかれて読んだ。 優れた評論を書かれる方である。小説もこれだけに 終わらず、もっと現代的な舞台での作品が欲しい。2011/03/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/663379
  • ご注意事項

最近チェックした商品