出版社内容情報
祝言が決まってから、急に冷たくなった父を気に病む娘。父子の絆を、ほかげ橋の夕景を背景に切り取った表題作など、傑作時代短篇集。
内容説明
祝言が決まった頃から、急につっけんどんになった父の様子を気に病む娘…。親子の絆を火影橋の夕間暮れを背景に切り取った表題作など、珠玉の時代短篇集。とびっきりの人情譚。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年、高知県生まれ。都立世田谷工業高等学校電子科卒業。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空会社関連の商社勤務などを経て、97年、「蒼龍」で第七十七回オール讀物新人賞を受賞。2002年、『あかね空』で第百二十六回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫綺
71
人情あふれる江戸の日常を描く短編集。山本さんの時代小説は切った張ったの大立ち回りはなく、一般庶民の暮らしぶりや慣習などの描写が楽しい。特に瓦問屋、廻漕問屋、髪結い、伊勢型紙彫り、悉皆屋、傘張り職人などの仕事ぶりを分かりやすく紹介しながらの人情話は好みだ。2013/10/13
nyanco
40
下町長屋の子供を持った夫婦の母親・父親の愛が描かれた『泣き笑い』は、じんわりくる温かみを持ったお話。『湯呑み千両』は瓦問屋、災難続きだった年の大晦日、最後の最後は…。この作品が一番、〆の感じが心地よかった。『不意峨朗』祇園に修業に出た髪結・喜一郎は「江戸に戻り、出番に備えよ」と夢のお告げを受けて… 喜一郎の一本筋の通った感じでこちらも気持もシャンとなる作品。『藍染めの』は型紙彫職人の話、小紋柄の『鮫小紋』と親方の気持ちを重ねて賭場の親分が諭す話がいい。続→2010/10/27
ジュール リブレ
17
『辰巳八景』に連なる短編集。いいお味でした。本所深川を舞台のいなせなひとびとが主に、常連の江戸屋の秀弥さんたちが、脇を固め、木場つながりの新宮篇と、次郎長の清水モノ、山本さんの故郷・土佐ものが一つずつ、でした。シンプルなハッピーエンドじゃないのも多かったけど、でも味わい深い作品集ですね。2011/05/13
シュラフ
13
山本一力さんの短編集。この短編集、山本一力さんのライフワーク(江戸時代、深川、土佐、新宮、清水の次郎長、家族)のエッセンスがつまっている中身の濃い一冊である。表題の『ほかげ橋夕景』は娘が嫁ぐ前の父娘の物語。父の娘に対する愛情と娘の父に対する思いが情感たっぷりと描かれている。娘をもつ立場としては思わず、ぐっとくる作品である。ほかげ橋から見える美しい夕焼け空が目に浮かんでくる。また『泣き笑い』も、ひとり息子をまっとうに育てようとする夫婦の、厳しい躾の中にも子どもに対する親子の情愛が感じられる作品でよい。2014/05/25
猫ぴょん
12
8話の短編 ほろ苦かったり漢気あふれる~だったり。 表題作の父と娘のお話しがイチバンかな~。2018/09/29