出版社内容情報
幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を構えるゆずと真之介。若い2人は動乱の時代のなか芹沢鴨や坂本龍馬たち「人間の名物」も目利きした!
内容説明
幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。わけありの道具を「見立て」、癖のある人々を「目利き」しながら、ふたりは少しずつ成長してゆく―。動乱の京都を舞台に、「道具」と夫婦愛を描いた佳品六篇を収録。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。99年「弾正の鷹」(同タイトルの短篇集に収録)で小説NON短編時代小説賞を受賞。2004年「火天の城」で松本清張賞を受賞、同作は第一三二回直木賞候補作にもなった。2009年『利休にたずねよ』で第一四〇回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
76
京の道具屋「とびきり屋」シリーズ2作目。ゆずと真之助のなれそめ「鶴と亀のゆくえ」商いの極意、目利きの極意「ええもんひとつ」「お金のにおい」ゆずの人柄「さきのお礼」雅びな「花結び」中でも「ええもんひとつ」は良い言葉です。それでいて、ゆずはやはりお嬢様。その誤り諭してくれる扇屋のような存在こそ、とびきり屋の力となるのでしょう。素直に反省できるゆずも人物です。恩人・桝屋絡みとはいえ幕末の騒動に巻き込まれて行きそうなとびきり屋。山本兼一さんが、どうまとめていくのか楽しみです。2011/07/02
ぶんこ
52
面白かったです。 新撰組や尊王攘夷派の面々も出てきて、当時の世相が伺えます。 ゆずさんが家内安全の後に、戦がおこりませんように、世の中の皆が息災で過ごせるようにとお祈りした気持ちに共感。 100両あったら、1両の物を100個より、100両の物を一つだけ・・・耳が痛かったです。 安物買いの銭失いが私です。 市井の片隅で、仲良し夫婦と、和気藹々とした奉公人の古物屋さんに、侍の争い事や、茶道宗家とのゴタゴタに巻き込まれず、息災な日々となりますように。2014/08/31
あつひめ
51
とびきり屋シリーズ第2弾!!こちらもまたまた表紙が微笑ましい。前作よりも夫婦の会話も夫と妻と言う形にはまってきて、真之介のおどおど感もなくなり主人らしくなっているところが成長を窺わせる。商人夫婦の物語に新撰組や坂本竜馬、桂小五郎など歴史を動かす面々が出たり入ったり・・・何とも賑やかで、人の集うところは、幸せも寄ってくる・・・そんな気にさせてくれる楽しめる時代物だった。二人のなれ初めも知ることができたし、これからどんなふうにとびきり屋が繁盛して二人が幸せになっていくのか見届けたい。続編も読みたいなぁ~。2012/02/10
藤枝梅安
49
「オール讀物」で連載されているシリーズをまとめた2冊目。老舗の道具商の娘・ゆずは番頭の真之助と駆け落ち同然に家を出て「とびきり屋」を開いた買い付けたり、持ち込まれる骨董がそれぞれ曰くつきの品物。若い二人は細かな観察眼と大胆な決断で苦境を乗り切っていく。この作家の出世作となった「利休にたずねよ」でも出てきた茶道具の知識がこのシリーズでも粋なアクセントになっている。芹沢鴨、坂本龍馬、桂小五郎、幾松まで登場し、幕末のあわただしい動きと、毎日の暮らしを大切にする市民たちとの落差を描いている。2011/01/21
星群
44
シリーズ2作目。攘夷の志士や新撰組が、京を日本を縦横無尽に駆け巡る中、市井の人が願うは、ささやかだけど平穏な日々。そんなゆずの気持ちが、ひしひしと伝わってくる。坂本龍馬や桂小五郎、新撰組と関わりを持つ、真之介とゆずのとびきり屋の今後が、やっぱり気になる所。桂小五郎に託された手紙を守るドキドキハラハラの「花結び」と、真之介とゆずのなれそめの「鶴と亀のゆくえ」がお気に入り。2013/03/26