出版社内容情報
朽ち果てた洋館に流れてきた手負いの老若男女たち。リストラ・サラリーマン、リストカット・女子高生たちの珍妙な共同生活を描いた好篇。
内容説明
ここは、誰かにいじめられて逃げこんできた人ばかり。世間から見放され、朽ち果てた屋敷に集まった心よわいアウトローたちの再生の物語。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年、愛知県豊橋市生まれ。1998年、「走るジイサン」で第11回小説すばる新人賞を受賞。2002年、連作短篇集『コンビニ・ララバイ』(集英社)で注目を集める。2006年、時代小説『雲を斬る』(講談社)で第12回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
93
『珈琲屋の人々』シリーズの池永さん作品で、どこかちょっと儚げな人間模様を書かせたら、味のある作風の作家さんですが、今作はちょっと読むタイミングが合わなかったのかもしれません。帯にあるように‘世間から見放され、朽ち果てた屋敷に集まったワケありの心よわいアウトローたちの再生の物語’とありますが、正直そんなにアウトローではなかったし、心が弱いのではなく、自分勝手で優柔不断で、出てくる人物誰ひとりとして残念ながら共感できず、ラストもなんだか微妙な読後感だけが残ってしまいました。特に主人公にずっとイライラしました。2016/01/27
nyanco
30
朽ち果てた洋館の庭を掘り続ける人々。掘り続ける人たちが見つけたものは…。生きるのが苦手で何かを背負って俯きがちに生きる人々を描くのが巧い池永さん。今回は逃げてきた人々。各々のキャラクターな面白いが主人公・佐伯に対してはいらだちしか感じない。毎日、妻と息子を望遠鏡で覗き見する彼に嫌悪感。気持ちは解ります、でも、やっぱり動き出してほしかった。私が妻であったならば覗いていた夫が許せない、罪を背負ったからこそやり直そうと言うなんて更に許せない。佐伯に全く共感できずに終わってしまいました。2010/01/22
ゆみねこ
28
わけありの人々が集まって、北鎌倉の高台に建つ荒れ果てた洋館の庭を掘り返す。借金から逃れて来た大阪の夫婦、館の持ち主でぼけている倉持、挫折したサーファー、リストカット癖のある真世、リストラを家族に打ち明けられずに家を出た主人公佐伯。この主人公のだらしなさにイライラが募る。勝手に家を出て望遠鏡で家をのぞく。残された奥さんや子供のことを思うならさっさと家に帰って謝れと思いながら読む。穴を掘って思いを叫ぶくらいならとっとと家に戻れと思いながら読了。2012/09/16
あー
20
逃げるな!と何度も思った。だけど、逃げたからこその、この物語。最後に希望が持てそうで良かった。2016/02/17
zanta
12
面白くないこともないんだけど、違和感が大きい。シュール、なのかな。私は性格的に、ちょっと生真面目すぎるところがあり、その感覚ではこの世界観に馴染めない。かといって眼を背けたくなる程嫌いかというと、そうでもない。好きなところもある。判断が難しい。当たり外れがあるというレベルなのか、合わないのか。今日の私のコンディションが悪いのか。2014/04/14
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