出版社内容情報
映画撮影の舞台となった北九州の町が、史上最高に心ない賭博のワンダーランドと化す。爆笑がやがて感動に変わるハイパーノベル!
内容説明
北九州のシャッター商店街に映画の撮影隊がやってきた。俳優たちの退屈しのぎの思いつきから、街は最高に心ない賭けのワンダーランドに。人の心の黒さと気高さを描きつくす、奇才4年ぶりの小説。
著者等紹介
松尾スズキ[マツオスズキ]
1962年福岡県生まれ。作家、演出家、俳優、映画監督、脚本家。88年「大人計画」を旗揚げ。2006年、小説「クワイエットルームにようこそ」が第134回芥川賞候補作となり、07年、自身の監督・脚本で映画化。08年、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の脚本で第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
143
読友さんに北九州の黒崎が舞台の本だと教えて頂いた。松尾さんのバリバリ出身地やん。方言の「きさん」もバッチリ、うら寂しい風景もそのもの。てっきり、ギャンブル好きな老人の話かと勘違いしていた。表紙の絵は小動物のような顔して実はファンキーな爺さんだと。ところが老人が賭けの…。だったら、おおっぴらに笑うのは不謹慎だと自粛しながら読んだが、やっぱりおかしい。松尾さんが、シンシュンシャンソンショーと言わせたいばかりに、新春にシャンソンショーを開催した人みたいで。各場面の主役の後ろでずっこけたり、本音を漏らす人がツボ。2015/08/01
カザリ
35
文学界に個の本一冊分掲載できるんだなあ、とソノコトに驚き。うーん、またしても需要がつかめない。2015/02/11
manamuse
34
寝るまで…と思って布団の中で読み始めたら面白くて一気読みでした。最後の年輩大物俳優とその弟子とのやり取りをいかに周りの人達が自分の利益の為に上手く誘導するか、した結果想定外なことが起きてよく分からんが感動で終わるというね…笑。次も松尾さん!2020/03/20
ちはや@灯れ松明の火
32
上っ面だけのちっぽけな敬老精神など指先でこねくり丸めてピンと弾き飛ばして飛距離でも賭けようか。別に深い理由なんてない、只の暇つぶし程度。閉塞感に押し潰されそうな北九州郊外の映画撮影現場で俗物揃いの関係者たちが繰り広げる賭博劇場、対象は人生最初で最後の初主演に挑む脇役一筋老俳優の演技の可否。罰当り上等、励めよ地道な裏工作。作り物めいたホロリ系人情話じゃ描ききれない哀愁ややるせなさは乾いた笑いの中に紛れ込ませよう。どれだけ笑い者にしようとも踏み越えてきた道も師弟の絆も損なわれやしない。2010/04/03
nyanco
32
老人を賭けのネタに…って不謹慎ですがブラックコメディとして成功してます。老優・小関が脳内で笹野高史さんに変換されてしまって、もう可笑しくて可笑しくて…。脇役のグラドル・海は、可愛くてちょっとオバカなグラドルかと思いきや将来も見据えたセカンドビジネスをしていたり、賭けでも巧妙な罠をしかけてきたり…と個性的で面白い。30年間下積みを重ね、一度も映画に出たことのない忠実なマネージャーのヤマザキが撮影の終盤、キレるシーンもお見事!ただ、ラストに主人公が去って行く〆のシーンが私にはイマイチと感じられ残念でした。2010/01/23