出版社内容情報
西欧に先駆けて先物取引を行った堂島米会所の大事件!
堂島の米市場で仲買として相場を張る吉之助は、幼馴染の敵を討つため、堂島切っての凄腕・十文字屋に乾坤一擲の大勝負を仕掛ける。
1730年、西欧に先駆けて組織化された先物取引を行った堂島米会所を舞台に、丁々発止の頭脳戦を描く傑作時代小説。
内容説明
堂島の米市場で仲買として相場を張る吉之介は、幼馴染の敵を討つため、堂島切っての凄腕・十文字屋に乾坤一擲の大勝負を仕掛ける。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年、岐阜県に生まれる。一橋大学卒業後、電機メーカーに勤務。小説現代新人賞、歴史群像大賞を受賞後、2003年に『月ノ浦惣庄公事置書』で第十回松本清張賞を受賞し作家生活に入る。同年『村を助くは誰ぞ』で第二十八回歴史文学賞を、2008年には『清佑、ただいま在庄』で第十四回中山義秀文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
25
女郎と心中した男の懐徳堂時代の学友たちが「心中ではない」と信じて探索する。その過程で仲買の吉之介が相場を張る状況や堂島の米市場、米会所、取引の仕組みが分かりやすく描かれていて楽しく読めた。大きく儲けて妾宅も持って、という景気のいいところで終わっていないのがなんとも…先物取引は一瞬先は闇ということだろうか。2019/01/05
シュラフ
14
教科書で先物取引というのを何度も勉強したのだが、よく分からない。なんか実態がないようで、いまひとつ"ぴんとこない"のである。だが、このなにわ堂島の米市場の話というのは実際の取引の様子が描いてあるのでとても分かりやすい。「やった、やった」「とろう、とろう」・・・米市場ではこうやって売り買いの取引がされていたのですね。そして、米という実物に対しての先物取引・・・米の出来・不出来を予測することで米の値段が上下するというのは当然のこと・・・これが世界で初めてと言われる先物取引・・・そんなに複雑な仕組みでないか。2014/10/16
藤枝梅安
9
時は宝暦年間。堂島の米相場の仲買・吉之介が友人・藤吉が巻き込まれた、心中に見せかけた殺人事件の謎を探るうちに先物市場の裏の陰謀に突き当たる。 若い頃一緒に遊んだ仲間たちと共に悪に立ち向かい、相場の勝負に勝って遊女を落籍するまでの歴史経済エンターテインメント。最後に岩井さんらしいオチがついている。2010/01/11
誰かのプリン
7
江戸時代に先物取引が、組織的に行われていたとは驚きである。内容は先物取引を背景に、殺された学友の犯人捜し。大変面白く読ませて頂いた。でも最後がなぁ〜。2016/10/08
zazo嶋
5
江戸時代、大阪堂島を舞台にした先物取引。そもそもその存在こそ知らなかったのだから、非常に面白く時代小説とは思えないくらいの、経済エンターテイメントとして楽しめます。 そこに、殺人事件が起こりその復讐を誓い、真犯人を米市場の仲買として葬り去ろうとする、手に汗握る攻防は読みごたえ充分。こんな時代小説もあるんですねー。 昔も今も、マネーゲームに勝つには資金力、情報量と操作、そして、忍耐力なんですね。2009/10/08