内容説明
祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。
著者等紹介
津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年、広島市に生まれる。青山学院大学国際政治経済学部卒業。89年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。97年、現名義で『妖都』を上梓。幻想小説の新旗手として注目される。2006年、自身の高校時代に材をとった『ブラバン』が話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
116
津原作品、初読みですが先を楽しみに読みたい1冊となりました。人形とは無縁の素人と言ってもいいような社長と風変わりな職人。物語は持ち込まれる人形が謎を抱えてやって来るようなものだから、お客さんさえ途切れなければ謎も事欠かない。人形という独特の存在意義とまた、魂を宿してしまいそうな愛情とか、未だに科学では解明できない世界だから、これはやりようによってはおもしろい題材かも。私もこの年で、毎晩枕にするぬいぐるみがある。それに触れるだけでやっと気持ちが解放される。人形って本当不思議な存在。2013/07/27
nobby
115
なるほど、愛に満ち溢れているね!物語の舞台は“たまさか人形堂”、素敵な三人によるホンワカさが心地よい。日常的に何気なく目にする人形だが、その由来や存在の意味なんて考えたこともない。まして彫刻との違い、国別での人形劇の相違など興味深く知れるのは面白い。それにしても、短編6つともに人形へと注がれる想いが何とも多岐に渡る。嫉妬や純愛そして狂気、あるいは悪事など印象深い。一番心に残る話は「恋は恋」、異質ながらダッチワイフいやラヴドールへの切ない愛情にジーンとする…お約束的で爽快なラスト読めば、気持ちは既に続編へ♪2018/09/08
紅はこべ
85
Twitter上ではちょっと荒れてる感のある津原氏だが、作品は安定した世界観。『和菓子のアン』の和菓子が人形に代わった感じか。素人の主人公がプロに囲まれてるところとか似てる。女は怖い的の話が多かったかな。特に「村上迷想」の唯さん。冨永くんはキャラ的にあまり好みではない。2015/10/07
chimako
80
面白かったなぁ。「人形は女の子のもの」ラブドールを作る会社の社長の言葉。子どもの頃持っていた人形を思い出した。茶色の髪の青い目の女の子。手足だけが動く、おしっこもする、ミルクのみ人形。母がワンピースを、祖母が振り袖を縫ってくれた。自分でスカートを作った。お風呂に入れたり髪を洗ったり、好きなように遊んでいたのにいつの間にか見向きもしなくなった。この物語の人形たちは大切にされる。魂が宿るほどに。登場人物がそれぞれに魅力的で最後は笑いながら泣かされて。書架で見つけて借りてきた1冊はこの夏のヒットだった。2018/07/28
風里
71
人形屋と人形に纏わる連作短編集。 人形に隠された歴史や想いが梨木香歩さんのりかさんを思い出させる。 富永君がオーナーとはビックリだ。2013/11/13
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