内容説明
四国・阿波、ある夜、「藍」が逃げ出した。人間でいえば十六、七…。心の奥底に秘められた言葉、記憶、すべてを解き放つ、「それ以上」の物語。
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966年大阪生まれ。京都大学文学部仏文学科卒。96年に短篇集『とーきょーいしいあるき』(のち『東京夜話』に改題)、2000年、初の長篇小説『ぶらんこ乗り』を出版。03年『麦ふみクーツェ』で第18回坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
13
いしいしんじは『麦ふみクーツェ』や『プラネタリウムのふたご』みたいな児童文学ものは大好きなんだが、この作品のような大人向けの幻想文学はその世界観についてゆけないところがある。私の想像力の限界か。「渦」と「藍」がよかった。どの作品も異世界四国を旅する物語。2015/04/13
小葉
9
○ いしいさんの話はやはりよくわからない。ただ、悲しげで寂しげで暖かげなふわふわとしたものが漂っている感じ。地名や方言、漱石や子規の話は今在るそのままの世界(知っている地名てんこ盛りで嬉しくなる)。それに時間も空間も超えた世界が混じり合い、名状しがたいいしいワールドとなる。2008/12/18
もりの
7
世界観が掴めず読んでいて辛かった。途中で断念。2020/11/23
駄々猫
6
いしい流四国幻想物語集?なんだか夢と現を行きかうような内容で、異様に眠くなる短編集だった。半分、気持ちよく眠りながら読んでいたような。でも、それが正しい読み方と言ってしまっても良いような。巡礼に興味があるので「道」が好き。2009/08/01
しんちゃん
5
なんじゃこれ、というのが第一印象。摩訶不思議な世界で、文章はうねうねと揺れ、人物も物語もうねうねと揺れ動く。父が死に高松の親戚に引き取られた四人の姉妹の物語「塩」。高松から高知へ列車で旅をする英語教師の物語「峠」。海沿いの巡礼路をひたすら歩く巡礼者の物語「道」。鳴門海峡の渦潮にひかれた弟思いのトラック運転手の物語「渦」。ひとり動きまわることを始めた熟成しきっていない藍と、その藍を追う藍師の物語。とにかく、大量のイメージが投げかけられてくる。2009/01/30