内容説明
幸せの魔女が、復讐の旅にでた。どこまでも暗く、哀しみに満ちた世界を最後に救ったものとは―大きな愛に包まれる、ばななワールドの新境地。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
226
よしもとばななさんには、時としてオカルトへの傾斜が見られるのだが、そんな時、吉本ばなな以来の読者としては、幾分かの違和感ととまどいとを覚えざるを得ない。本書は、おそらくは書き始められた当初からファンタジーとして構想されていたのだと思われる。文中の「イメージがすべて」というのが、この小説の特質をよく語っているだろう。そして、「あそこからやりなおせたら」というのが物語の核になっている。ただ、喪失した時間をたどり直す試みは、14歳の主人公、由美子の小説内年齢(20代後半)と齟齬をきたすようにも思われるのだが。2014/09/11
ふじさん
83
図書館本。母親同士が双子の姉妹で、いとこ同士の由美子と昇一。昇一は母親の遺言に従い、由美子のもとを訪ねたのをキッカケに、由美子は昔、遭遇した事件の影響で見失ってしまった自分を取り戻すべく、ゆかりの場所を訪ね、関係者に会いに行く。由美子にただひたすら優しく寄り添う昇一。由美子と昇一の会話が中心となり物語は進んでいきますが、苦しみつつも由美子が昇一と過ごした数日間の中で、何気ない日常に包まれるような幸せを見出していく。何とも言えない余韻が残る作品。夢なのか?現実なのか?捉えどころがなく感想が難しい小説。2025/08/07
ゆめ
59
私にしては珍しい感覚の本を読みました。残るものがあまりなく 読み進めただけで感想がない。ハラハラ ドキドキの展開がないと楽しめないわけじゅないけど これは合わなかったということで 次に期待しましょう。2018/06/02
美登利
58
ばななさんのスピリチュアルというか、オカルト的なのかファンタジーなのか?分からない物語。区切りのない、ストーリーはどこで息を付いたら良いのだろうと?いつも感じます。初めはいとこ同士たった二人だけの会話と回想を交えた行動だけで進みます。色々なことが絡んでるなぁ。かなり宗教的でもあるんだけど、嫌な感じはしないです。ただ実際にそんな目にあった人もいるのだろうと思うと悲しくなるけれど。救いのない事件から発生して、最後には登場人物たちは救われたのかな。海外の作品をモチーフにしてばななさんが独自の世界観にしたもの。2015/09/30
風眠
55
夢だったのか・・・あぁ、そういうことか・・・、という感じ。入れもの、または容れもの、としての肉体について考えた。魂のゆくえとか、無意識の世界とか、考え始めたら森羅万象とか宇宙とか壮大になっちゃって収集つかなくなって・・・。ぶっちゃけると、何をどう書いていいのか分からないのだ。ほんのり淡い不安が残る読後、時をおいて再読してみようと思う。2012/10/19