出版社内容情報
絶品ぞろい!世界少年少女小説「超」傑作選。
まさに怖るべき子どもたち。柴田元幸さんが時代を超え、世界中から選りすぐった〈少年少女小説(本書では「少女」が先ですが)〉の決定版。まずは、この企画のために書き下ろされたユアグロー作品から始まって、1920年代ソ連の作家が遺した摩訶不思議な物語に、サラエボ出身の若手作家が描く少年のひと夏、レベッカ・ブラウンのおそろしくシャープな少女の世界、トリをつとめるはデ・ラ・メアの古典的名作「謎」と、まさに「怖るべき子供たち」が勢揃い。さらに特別付録としてアメリカ漫画の傑作中の傑作をカラー投げ込みチラシとして収めました。
内容説明
レベッカ・ブラウンの“少女”、ユアグローの“少年”、デ・ラ・メアの名作「謎」の子どもたち、20年代ソ連のアヴァンギャルド作家の愉快で恐ろしい世界、サラエボ出身の新鋭に、本邦初登場のアイルランドの女性作家…。世界と、あらゆる時から届けられた逸品が勢ぞろい。永遠に失われる前の大切な話、選りすぐりの15篇。特別付録・伝説の漫画「眠りの国のリトル・ニモ」、「ガソリン・アレー」カラー・リーフレット。
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。東京大学文学部教授。現代アメリカ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
43
「大洋」の家族のあり方があるあるで頷くばかり。「灯台」の帰らない子供時代と大人になってしまった自分との対比が時が止まった老いた灯台守りとの会話で明かされるのにほろ苦さを感じます。「トルボチュキン教授」はゴーゴリの「鼻」めいた騒動に最後の締めにクスリ。「猫と鼠」が好き。「修道者」は受け入れられるようになった子供達に微笑ましくなりますし、「パン」は『体温』のような短いのに濃厚な内考世界。一方で「島」の変わらないと思っていた何気ない日常が壊れてしまった事の痛ましさが子供目線なだけにヒシヒシと迫るのが遣る瀬無い2016/08/03
kariya
31
タイトル、装丁、そしてコンセプトとで3点先取の観のある(笑)海外小説アンソロジー。活字も大きめで、収録作も基本は短編なのに、1作1作を味わいつつゆっくり読んでしまうので、意外と読書時間を要してしまうような。中でも、女子校残酷物語レベッカ・ブラウンの「パン」が印象的。自分が少女や少年だった日を思わせる、和みとかほのぼの系の話ではなく、どこか歪で理屈に合わない悪夢的な世界が多いけれど、考えてみれば子供の頃、世界はそのように見えていたかも。2009/06/03
tomi
30
柴田元幸氏の訳書を中心に編まれた「少女少年」小説のアンソロジー。児童書かと思いきや、柴田氏の編集だけあって一筋縄でいかない作品ばかり。5作収録のダニイル・ハルムスは統制下のソ連で捕えられて獄死した作家だという。ナンセンスな作風で面白く他の作品も読んでみたくなった。他にヴィヴァンテの「灯台」、「トムとジェリー」(と思われる)を文学的に描写していてユニークなミルハウザー「猫と鼠」が好み。レベッカ・ブラウンは難しい。2014/03/28
tomo*tin
29
まるで高級デザート・アソートメントのような短編集。色んな味を少しずつ。けれど分量に不足感は無い絶妙な柴田セレクト。自らでは決して選ばないような作家の物語まで味わえるのが、こういった本の醍醐味だと思う。個人的には、やっぱりレベッカ・ブラウンの「パン」の放つ匂いがとても良く、マリリン・マクラフリンの「修道者」の美しさにぐらぐらし、バリー・ユアグローの「大洋」とウォルター・デ・ラ・メアの「謎」の持つ空気に呑み込まれた。いつかの日々は遠いからこそ煌めいて見え、戻れないからこそ味わうことができるのかもしれない。2009/04/26
やまぶどう
26
社会復帰(?)第一作はこのアンソロジー。「少女少年小説選」は少女少年のための本ではなく、少女少年のある局面をリアルに描いた作品群だった。懐かしい映像がくっきりと目に浮かぶ詳細な描写のミルハウザー、女子の心理にぐいぐい迫るレベッカ・ブラウン、記憶を共有できない不確実さが悲しい「ホルボーン亭」などなど、どれもこれもよかった。このアンソロジーを読み、私も昨日のように遠い日に思いを馳せる。2009/06/15
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