内容説明
男女の間にある深い溝が、これほどまでに強烈に描き出されたことがあっただろうか?爆笑を誘うほどに悲惨な、二つのよるべない魂の彷徨。“私小説の救世主”が贈る、心に突きささる傑作。女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な芥川賞候補作「小銭をかぞえる」、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」の二篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古古古古古米そっくりおじさん・寺
32
表題作より併録の『焼却炉行き赤ん坊』の方がが好きだ。賢太さんの彼女ってすごくかわいいと思う。それをあんなにいじめて…勿体ない。2011/08/18
myc0
28
久々に、わわわ、やばい、好きだ!ってなる作家に出会った。思い出し笑いできる作品に会ったの久しぶり!もう、クズさ(笑)酷いクズさ(笑)そんな言い方...って思うかもしれないけど、クズとしか言い様のないクズ!...好きだ!こう、人間的にもうダメな方に振り切ってる感じ。どの面下げて!と言いたくなるような暴言吐く主人公(きっとモデルは作家自身でしょう?)。愛すべきクズ。現実ではぜひ関わりたくないものだけど、こういう変な人は気になって突っつきたくなるんだよなぁ。最近漫画ばっかり読んでたけど、やっぱり小説って好きだ。2017/05/30
めがねまる
17
初めからおしまいまで、ひたすらクズな男の行動、心情が描かれる。暗い。なのに笑える。落ち込んだ時に読みたくなる。2017/12/22
らびぞう
13
胸が悪くなる。こんな男、本当にいるのだろうか。同棲相手を働かせて、自分は傾倒する藤澤清造の貴重本である古本や、自分の自費刊行をしている印刷代を捻出するため、友人を頼り、そうして、それが上手くいかないと、「うるせえ、この野郎!そう思うんなら女房に客とらしてでも金を作って持ってこい!」と腹立ちまぎれに悪態をつく。同棲相手の実家からも更なるお金の無心をするため、最後は怒鳴りつけ、喚き散らし、半ば恫喝するように嘆願する。全く経済観念がないのに、それが上手くいかないと暴言、そうして、反省。でも、どこか憎めないのか。2022/02/09
りえ
13
私小説だと知り読んでみたけど、ダメ男すぎる。読んでいる分には面白いけど、身近にいてほしくないくらいの身勝手さ、お金のだらしなさ、暴力暴言の数々。こまかい感情の描写や会話文が多くて、著者の生活感がよくわかる。ここまで自分の内面を小説にできるのはすごいと思う。2015/04/29
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