内容説明
部下の自殺をきっかけに自身もうつ病に罹り、会社を辞め妻子とも別れ、何もかも壊して故郷・博多に戻った精一郎。九年前にがんを発症し、死の恐怖から逃れようとするかのように、結婚と離婚をくりかえす敦。小学校以来の親友であるふたりの男は、このやるせない人生を受け入れられるのか―。
著者等紹介
白石一文[シライシカズフミ]
1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ともくん
33
ある事がきっかけとなり、うつ病を発症した青野精一郎。 それからは、死の隣を歩いて生きてきた。 友と、故郷に助けられ、何とか生きてている。 人間どうせ生まれて生きて死ぬだけ― 生まれてから死ぬまでの間、生きているだけ。 ただ、一生懸命に。2024/08/14
あつひめ
26
男同士の友情ってキラキラしてるのかもしれないなぁ。と羨ましくなった。長い年月いいことばかりじゃない。どん底の時もある。そのどん底を正直に見せることができるのが親友だと思う。この世に生を受けたからには、自分の生きていた証を小さくてもいいから残したいと思うのが人情。忘れ去られたくないとか…でも、それは後付けの理由で自分が自分であり続けたいという欲望があるのかもしれない。鬱や癌、その他いろんな病で闘病中の人の心を登場人物たちに語らせているような白石作品。生きている人たちみんなの声なのかもしれない。2011/07/04
あいくん
10
☆☆☆☆8年ぶりに読み返しました。2007年の作品です。中年男性二人の友情物語です。なかなか感動させられます。香椎浜アイクリニックが冒頭場面です。主人公は香椎に住んでいて、福岡高校卒業です。これはかなり白石一文さんの自伝的な要素もあります。博多湾人工島計画もでてきます。福岡にゆかりの人には親近感がわきます。福岡には海と山があるのが素晴らしいというのもわかります。主人公はせいちゃん、友人はあっちゃんです。二人とも49歳です。あっちやんは4回結婚しています。妻の久美さんは43歳です。 2019/06/06
ばしこ♪
7
生きるとは何なのだろうか?死ぬとは何なのだろうか?そう考えさせてくれる作品です。タイトルは本当に深い意味を持つ。ただ、男性向けでしょう。女性では理解しがたいような気がする…2016/11/01
E M !
5
「人間は生きたがる動物であると同時に死にたがる動物でもある」が印象的でした。本の中はゆったりとした時間が流れていて、読んでいて心地よかったです。永遠のとなりはいつも私たちの近くにあって、人生はつらいこともあるけれど、そう捨てたもんじゃない。2011/05/29