出版社内容情報
大塩の乱から二十余年。幕末の大坂に暗雲せまる。
剣を揮う手を包丁にもちかえ、既に「三願」からも隠居を決め込んだ利之だが、乱世の相は商都にも顕れ始めた。──『杖下に死す』から二十年余。あの光武利之が再び物語の舞台へと登場します。
内容説明
幕末・大坂―眠れる獅子、覚醒す。船場に、男が惚れ、女が惚れぬく漢がいた。新撰組が跋扈するなか、筆頭与力は命を賭して大坂の物流を守らんとする。ただ志にのみ殉じる壮絶な男たちの時代に、閑を宿しつづけた場所があった。その名は「三願別荘」。料亭「三願」から隠居し、別亭にて腕をふるう光武利之。乱世の相は商都にも迫り、とうに武士を捨てた利之をも時代の奔流のなかへと飲み込もうとするが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
14
幕末の頃、歴史では天皇や将軍、反幕府勢力のいる場所が取り上げられる事がほとんどだけど、確かに庶民はそれ以外の場所にもたくさんいました。その一つが大坂でしょうか...なるほどねぇ...あ、これ続き物の第2巻だったのか...2013/09/25
鯖
12
こちらもさらっと再読。大塩の乱から20数年経つと、利之のお店には新撰組の土方さんが来てしまう。一度は剣を捨てた利之は再び剣を取り、土方さんと立ち合うことに。北方先生の描く土方は基本面倒くさい男だよなあとしみじみ。>「黒龍の棺」 教科書見てるだけだと想像もつかない時間の流れがドンっと目の前に突きつけられて、まずそこがすごいよなあと思うのです。「おい、お藤」「おまえの乳を、触っていたい」…、うん、まごう事なき北方先生の小説ですね。先生、南北朝か源平期を書きに、そろそろお隣の国から帰ってきてください。2014/10/18
Fuumin
3
「杖下に死す」の続編。読み終えるのが惜しいくらい、味わい深く、そして静かな話しでした。「杖下に死す」の方の、若々しさとの対比がまたいい。2016/04/08
Mituya Hasegawa
3
「杖下に死す」の続編。個人的にはこちらのほうが好きです!2014/02/17
サクラ
3
初 北方謙三 でした。ハードボイルドのイメージが強く時代物ってどうよ? と思いましたが、なんか はまりそうです。「独り群せず」のとおり独りで立つ勁さを書いたのもよかったかも。2013/06/07