出版社内容情報
ウヅマキ商會を営む橘河にタマシイを拾われた岬。蛇を捕まえたり、少年に傘を届けたり、仕事の背後に怪しい気配が・・・・・・。和風幻想譚。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京生まれ。女子美術大学卒業。88年『少年アリス』で文藝賞受賞。文芸各誌で活躍を続け、自らの著書の装画も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっとる◎
40
時々女みたいなかたちしたこの容れ物を持て余す。回した手が包み込むには足りないのを泣きもしないで、背中のうろこを撫でるのにちょうどいいってそっと笑ったりする。距離0で闇の視界の中息をするのさえ苦しいのに。借りの躰に宿ったタマシイが抱き寄せるのは人でありますか、化け物でありますか。そう問いかけて、温められてもひんやりしたままの己はそういえば蛇であったなあと思い出したりもする。外の雨音が夜に溶けて夢に忍びこむ。湯気がつくる蜃気楼は白いタマシイ。うろこを撫でながら夜に沈んで借りの躰がそのままなことに朝、安堵する。2018/12/23
芽
36
静かな世界観。ファンタジーが織り混ざっていてなんとも不思議なお話。 この作品も続編らしく、たまたま読了済だったからなお、楽しめた。2014/12/06
シェルティ
31
ちょっと百鬼夜行抄を思い出すような作品。橘河という男が営んでいるウヅマキ商会に就職している仲村と市村。あの世のもの、あやかし、蛇とのやりとり。読んでいてわからないことも多いし、BL要素も含んでいて自分にはちょっとと思いながら読み進めたが、案外百鬼夜行抄でなれているせいか、すんなり読めた。初めて読む作家さんでしたが、他のも読みたいと思いました。2013/08/04
じゃすぽ
16
あの世なのかこの世なのか。蛇とかBLとか、長野さんらしい。いつかこうゆう本を面白しく読めたらかっこいいだろうなと思いながら読んだ。開眼する日は来るのか?今年は空梅雨で肩透かしにあったけど、一日中降り続く雨の日に読みたい。へんてこ和風ファンタジー。2017/07/18
鯖
16
このあたりの思わせぶりで、直接描写のない長野さんの少し不思議な話を集めた連作集がとてもとても好きだ。過去にとんで持ち帰った傘がこうもりになって飛んでっちゃうこうもり傘が好き。というか、長野さんのじっとりとした雨の描写が好き。長野さんの書かれるものは、最近は御自身のルーツにまつわる私小説が多いのだけれども、またこういうお話も読みたいなあ。2015/09/30