内容説明
“犯罪被害者家族の集い”に参加したふたりの女性が殺された。ハープ奏者は両手首を切り落とされ、もうひとりは後頭部を石段に叩き付けられて―。刑事の大河内は被害者の夫の行動に疑問を覚えるが、なぜか公安部からストップがかかる。また、“集い”にパネラーとして出席した弁護士は、19年前に起きた少年猟奇事件の犯人だったことを知る。洗脳によって社会の暗闇に潜みつづける真犯人は…。猟奇的殺人鬼とプロの殺し屋がぶつかる時、警察組織の腐敗を目の当たりにした刑事も孤独な一匹狼として暴走を始めた。執筆に6年を費やし、かつてないスケールとスピードで展開する待望のサスペンス巨編。
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年、横浜生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年、第7回織田作之助賞入選。1991年、「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞し、1992年、『時よ夜の海に瞑れ』で単行本デビュー。1999年、『幻の女』で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タックン
80
捜査一課シリーズ。犯罪被害者の会に出席した女性2人が殺され大河内らが捜査を開始する。その会に出席してた弁護士が疑われるがアリバイが。でも過去に4人も殺人を犯してて少年法で守られて。そこに弁護士を陰で操るハンニバルばりの(透明な友人)の存在が疑われて・・・? さらに1人の被害者女性の夫がスナイパーで真犯人を狙ってるとか過去が怪しくて公安絡みの疑いがあるは、企業と指定暴力団と政治家の汚職絡みで公安が動いててと盛りだくさんでお腹いっぱい!! 話としては面白くて読み応えありだけど、ちょっと詰め込みすぎかな。2024/03/01
万葉語り
29
読み友さんの感想から読んだ本。人が死に過ぎて辛くなってくるが、どんどん読み進めてしまった。大河内と目取真がそれぞれのアプローチで真実に迫っていくのだが、この二人がもっと近い立場で協力できればよかったのにと、今読み終えて思う。続編があるらしいので進む。2014/10/06
アキ
11
愛すべき者の不慮の死により半ば魂の居場所をなくし、孤独をその身一身に囲い込んでいくひとりの刑事。孤独を唯一忘れる瞬間を求めてひたすら悪へと立ち向かう先で待ち受けるのは、ピカレスクロマンを地で行くスナイパーと、狂気の笑みをたたえるサイコキラー!さらに気がつけば、血縁までもが関係する警察内部の巨悪と対峙するはめに陥るという、とんでもなく「豪華な」設定で突き進む2段組み約600ページ!!それでも物語としては破綻することなく最後まで楽しめました。2013/05/14
うさっち
10
一つの猟奇殺人事件から物語は始まり、娘を失った刑事と妻を失ったスナイパーがそれぞれ別方向から犯人に迫っていくハードボイルド。著者が執筆に6年を費やしただけあって、少年犯罪、暴力団の抗争、警察内部の汚職と対立、復讐と盛りだくさん。これだけ色々なものが絡み合っても本筋は決してブレることなく、濃厚で重みがあり読み応えたっぷりで大満足♪2013/12/30
三浦郁子
9
『犯罪被害者家族の集い』で知り合った女性2人が、その帰り道で惨殺される。 ハープ奏者だった喜久子は手首から下を切り取られた。 その場に居合わせたせいで巻き添えを食らった南美は、頭部を何度も石段に打ち付けられて殺された。 犯人は異常者だと思われる。 それを追う刑事と、南美の夫が、犯人を追い詰めていく話だが ヤクザの抗争や、警察内部の不正などが絡み、事件は複雑な方向へ… 南美の夫が実は殺し屋で、壮絶な過去を背負っていた。2021/10/13