内容説明
あのころぼくは二十歳だった。詩に情熱を注いでいたぼくは、日本最初の外交官としてメキシコに赴任していた父に呼ばれ、地球の裏側に旅立った。そこには、奇想天外、驚天動地、ぼくにとっての未知なる領城、すなわち恋と詩と革命のめくるめく世界がひろがっていた―。詩人・堀口大學の青春を綴った渾身の1000枚。三島由紀夫賞作家が切り開いた新境地。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年、神奈川県横浜市生まれ。72年、「ミステリマガジン」に短篇小説を発表、以後『リンゴォ・キッドの休日』『真夜中へもう一歩』で、注目を集める。一方、テレビ、ラジオ、映画など他分野でも活躍。大友克洋との合作コミック『気分はもう戦争』(82年)がミリオンセラーに。映画『神様のピンチヒッター』(90年)、『ギャンブラー』(92年)では監督を務めた。98年、『あ・じゃ・ぱん』でドゥ マゴ文学賞を受賞、2004年には、『ららら科學の子』で三島由紀夫賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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naoっぴ
75
詩人・堀口大學が外交官の父のもとでメキシコで過ごした若き日々を描いた物語。大學の恋と青春が縦糸となり物語がすすむが、メキシコ情勢にからむ歴史的説明が多く、戸惑いながら読んだ。当時の世界の政情や革命を、あれもこれも寄せ集めて解説したように思えたのは私が世界史に疎いからか。一方で、大學とフエセラのロマンスの場面は別世界のようにキラキラとして美しい。与謝野晶子や啄木との興味深い交流、革命の凄惨さ、恋のロマンスそれぞれの融合し難い荒削りなアンバランスさが、なんとも独特な作品だった。2018/09/12
Lumi
18
詩人 堀口大學が外交官としてメキシコに赴任していた父に呼ばれ、メキシコで過ごす。 その地で異国の娘と恋をし、革命を体験する。 情景描写が美しく、フエセラとの恋は キラキラしていて小説なのだけれど美しい絵画を見ているような、映画を見ているような心地になりました。 2019/10/18
ぶっくlover
8
図書館のリサイクル本。表紙が「モネ」の日傘の女で、何となく気に入ったので貰ってきた。1912年頃からのメキシコの話。この頃メキシコでは民主化運動が盛んだったのだが、この本を読まなければ全く知らなかったことばかりでした。2021/05/05
umeko
8
最高に面白かったです。堀口大學のイメージが良い意味でひっくり返ったと共に、こんな青春時代を過ごした人だったのだと驚きました。現代のほろ苦い青春ドラマが生っちょろく感じるほどの過激さに魅了され、夢中に読みました。2012/12/01
羊男
3
堀口大学を主人公にした青春小説と言っていいと思う。ハードボイルドとは路線が違うのだが、戦争の現実というものを色濃く描写しているのがとても印象的。あくまでも現実から飛躍せず、地についた文章で起伏の激しい物語が綴られていくのが、なんとなく19世紀の仏文学的な雰囲気を感じた。2016/09/18
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