内容説明
あれはダイヤモンドを拾ってるの。昨日、雨がすごかったでしょう?旅する床屋をめぐる12の物語。
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。1998年より、吉田浩美とともにクラフト・エヴィング商會名義の著作および装丁の仕事を行う。2001年、講談社出版文化賞・ブックデザイン賞を受賞。また、同商會の活動とは別に小説作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
76
夜明けの空の色に、雲の色の文字。茜雲のブルーグレイ。いかにも吉田ご夫妻らしい色遣いの装丁。こっそり見える北斗七星。昼には頼りにならないから、人は道標が欲しくて、星や月を待って空ばかり見ていた訳じゃない。雨の気配を思案し、木枯らし一号に冬の訪れを予期し、消えてしまうお菓子を空気に味わい、流しの床屋さんの来訪を待ち、もしかしたら枕は寝返りが打てないから帰れない所を見上げてるしかないのだったり、人それぞれに空ばかり見ている理由があっていい。流しの床屋さんなんて、あるのかな。ないのかな。そんな事も大切でないのかも2016/03/20
とも
58
★★★★まぁ、取りとめのない作家である。読むのにものにも往生する。理由はいろいろとはあるが、様は読みづらい作品である。作品は12の短編小説となっているが、直接にツナガリはない。が、全てに流しの床屋 ホクトさんが何らかの関わりももっている。ときに主人公であることも、時には登場人物に出てこない事もある。普通の話もあれば、全くのファンタジーや空想の世界のこともある。とはいえ、この掴みどころのない空気感は嫌いではない。また、読み返したくなく作品である。2016/08/31
あんこ
37
文庫はまず東京で、次にパリで読んだ。今回、単行本での再読は何処にも行かず、今いるところで読んだ。無意識に美容室で読了、というのがなんともホクトさんに導かれたかんじがします。何度読んでも、いつも『海の床屋』の眼鏡を通して少しぼやけた海岸の風景が、まるで一枚の絵に引き込まれていくように印象的に頭の中で再生されます。次にこの短編集を読む時には何処で読むのか少し楽しみです。2014/01/30
がいむ
37
年の初めはおだやかな本で、と思って吉田さんの本を借りてきていた。はさみひとつをもってどこへでも切りに行く”流しの床屋”ホクトさんをめぐる12の物語。ホクトさんが主人公だったり、ちょっと出てくるだけだったり。もしかしてホクトさんはひとりじゃなくいろんな人が??と思う頃、最後の物語が・・・。吉田さんならではの、異国の風景やおいしそうな食べ物の描写がゆったりとした気持ちにさせてくれます。2014/01/05
nonたん
37
この作家さん独特の空気がいっぱい詰まった、12篇もの連作短編集。何かしら癒やし効果が有るようで、心が温まる、ほっこりする、などなど…いろんな気持ちが湧いてくる。印象深いのは、「彼女の冬の読書」「ローストチキン・ダイアリー」「永き水曜日の休息」かな。ホクトさん、今はどこの空を見ていますかね…。2012/03/28
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