内容説明
帰宅途中、浮浪者ふうの男に襲われた葉子は、無我夢中で抵抗した結果、男を死に至らしめてしまう。婚約を間近に控えた彼女は、悩んだ末、死体を海に捨てることを決意。完璧に隠蔽をやり終えたはずだったが、翌日、友人の結婚式で彼女に声をかけてきたのは、昨日殺してしまったはずのあの男だった…。旧家に伝わる鏡が、ひたひたと街を浸食する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
301
★★☆☆☆ 変な男に強姦されそうになった葉子は相手を殺してしまうが、そこから非日常的な事件に巻き込まれていくというエログロホラー。 とにかく全編を狂気が覆っており、キツいと感じる人が多いかも。特にスカトロ場面。自分はホラー耐性強いのでグロ系描写は気にならないが、葉子をはじめ鏡とその眷属に立ち向かう人物達の性格に好感が持てず、心から応援できなかったのが痛かった。 かなり乱歩を意識したような描写が多く、タイトルからして『鏡地獄』を想起させる。『盲獣』や『パノラマ島奇譚』のオマージュもあった。2024/01/28
W-G
239
こういうのも良い。飛鳥部氏作品群の中でも、とりわけ変態推しの作品。ジャンルとしてはミステリではなくホラー?になるので、どこまでも飛翔して、行ったきりで着地。物語の方向性は全く異なるが『ラミア虐殺』と同系統に感じた。青史は飛鳥部キャラ屈指の変態。今回は遂に汚れ系のプレイにまで到達してしまうのか?とハラハラさせられたが、すんでのところで自主規制した辺り、逆にらしくない。葉子の日常パートが、時間概念等、やや雑に描かれているせいで、他作品ほどラストの余韻が深くなってはいないが、ラストのミステリ仕掛けはかなり好み。2016/10/16
nobby
99
何かもう、いろいろスゴい…レイプから逃れようと殺したはずの男がストーカーの如く付き纏う恐怖から、何やらとんでもない鏡地獄なホラー展開。そこに描かれる背徳やエロが変態過ぎる。中盤で落ち着いたと思いきや、見事に反転してからは、予測重ね読み進める手が止まらない!後半の残虐・グロ・エロ・ファンタジー何でもありは、壮絶な嫌悪と憎悪と苦笑の融合という今までにない体験(笑)それでいて切なさも感じる…ミステリー要素少ない中でのラストがまた衝撃。今から鏡見るのがちょっと怖いな…2017/03/20
HANA
55
暴漢に襲われ、抵抗の末その男を殺してしまった女性。しかし後日、殺したはずの男が彼女を訪ねてくる…。といった上質のミステリを思わせる冒頭。ただ読み進めるごとにその予想は覆され、読者も悪夢めいた迷宮に誘われる事に。個人的に著者の作風は二つに分ける事が出来て、一つは幻想ミステリというかメタな造り、もう一つはジャンルを横断したようなミステリとホラーとSFの融合。本書は明らかに後者に属していて男の語る過去の話とラストは俗悪すれすれの悪趣味とどこか聖性さえ感じる描写は必見である。個人的にはパノラマ島を連想したかな。2024/09/13
まるほ
32
衝撃的な作品でした…。この衝撃は『粘膜人間』以来か…。▼338ページ、二段組み、かなりの分量があるにも関わらず、スイスイページをめくってしまう。初めはミステリータッチで始まるが、後半はホラーテイストに。そして全体を覆うエログロ。▼内容も、展開も、世界観も、全てブッ飛んでいます。しかし物語としては破綻してはいません。そして意外にも救いのある結末。▼うまいレビューをすることが難しい…。『粘膜人間』を楽しめた方はこの作品の世界観も受け入れられると思います。是非試してみてください。2019/11/23