孤独な鳥がうたうとき

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  • サイズ B6判/ページ数 462p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163235400
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

暗い過去を引きずって南部からニューヨークに逃げてきた38歳のセーラ。場末のクラブで歌手として働いていた9年前、トニーと知り合い結婚。しかし、義父のレオは、いっぱしのギャングのボス気取りで、なぜかやたらとセーラを支配したがる。トニーは妻を愛しながらも、父には歯向かえない。自由のない、いつも怖れてばかりの生活から勇気を振り絞って逃げ出す決心をするセーラ。それを追う義父の手下たちと、父親に見つかったらきっと殺されるに違いないと心配し、独自にセーラを探し出そうとするトニー。セーラに一目ぼれし、匿うジャズクラブのオーナー…。果たしてセーラは安穏を手に入れることができるのか。心に「重石」を抱えた登場人物たちの人生が微妙にクロスしながら、物語はクライマックスへと向かう。「記憶シリーズ」に代表される、従来の重く暗い作風から一転、本作品はヒロインと彼女をとりまく男たちの「大いなるハッピー・エンド」を追い求める。ロバート・アルトマン監督の映画のような群像ミステリ。

著者等紹介

クック,トマス・H.[クック,トマスH.][Cook,Thomas H.]
「緋色の記憶」で1997年エドガー賞(MWA Best Novel)受賞の実力派。アラバマ生まれ。ニューヨーク在住。「過去を失くした女」などの『フランク・クレモンズ』シリーズが人気。ほかに犯罪ノンフィクションの分野にも関心を持つ

村松潔[ムラマツキヨシ]
1946年、東京生まれ。国際基督教大学卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

114
心の闇をえぐっていくような『記憶』シリーズから一転本作ではみんなが 幸せに向かっていくような作風に変わっている。セーラという女性がなぜ 9年間の結婚生活後突然失踪したのか、そして義父はなぜ執拗にセーラを 捜し求めるのか、そしてその手先たちは…各人の視点で物語を進めてそして最後の結末へと導くクックの筆致は相変わらずだが、なぜか明るさがある。謎解きを楽しむのではなく、心理の流れを楽しむ感じか 2013/05/25

昭和っ子

24
ありがとうって言いたくなるほど読み易い。翻訳本らしく登場人物の一覧が示してあり、それを確認しながらそれぞれの目線で書かれた文章を、短い楽章を追って行くように辿るのだが、そのテンポが話が進むごとに早くなって行く。要は先が知りたくなって読む方のスピードがいや増すのだ。かわいいセーラを執拗に追うモンスターじみたオッサン、対抗する周りは気はいいが非力な男たちばかり。それも見当違いといえる行動も多くて…!ハッピーエンドらしいという情報を頼りに読み進めた。一度歌手付きの酒場という所に行ってみたいものだ、と思った。2014/09/13

himehikage

15
夫を残して突然行方をくらましたセーラ。それに怒った高利貸しで三流マフィアの義父は手下や探偵を使って執拗に彼女を探し出そうとする。一方で、何かを思い詰め暗い影をまとったセーラを守ろうとする者もいての、群像ミステリ…。各章のタイトルが古いジャズ・スタンダードの曲名が当てられているせいもあり、クックの2004年刊の作品はちょっとレトロ。ウィリアム・アイリッシュ風で楽しめた2023/10/09

34

8
(1)短い章仕立てで9人の登場人物のモノローグで物語は進む。外国作品をあまり読みなれていないので、人物の相関図が頭の中でこんがらって最初の三分の一は3回ぐらい読みました。読むにつれて引き込まれる登場人物。6人の男たちはある痛みを抱えて生きている。もちろん主人公の彼女も。とても魅力的で後半は一気読み。印象的な文章が多い。たとえば、最後の章セーラーの「大切なのは転がりこんできた小さなハッピー・エンドをよく味わうことではないか」など。面白かったです。2011/01/04

みるて

4
図書館の本 読了2017/09/12

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