内容説明
遠い昔の思い出、幼い頃に聞いたお伽話、切ない恋の記憶…。夢のかけらのような32篇の小さな物語。
著者等紹介
光原百合[ミツハラユリ]
1964年広島県生まれ。大阪大学大学院修了。尾道大学芸術文化学部講師。詩集や絵本、童話を執筆しながら、98年、初のミステリー『時計を忘れて森へいこう』を上梓。2002年「十八の夏」で第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞
鯰江光二[ナマズエコウジ]
1968年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、広告制作プロダクションを経て現在アーティスト、イラストレーター、グラフィック・デザイナーとして活動中。2003年第20回「ザ・チョイス年度賞」大賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
87
1編はとても短い短編集ですが、幻想的で美しいイラストと不思議で切なくて哀しくて寂しいそしてほっこりするどれも素敵なstoryでした。月夜の章の「エンゲージリング」の彼女がとても素敵でした。やっぱり光原さんの世界観好きです、これは手元に置いて何度も読みたい作品です。2016/03/14
エンブレムT
65
『宝石箱のような絵本』帯にそう書いてあったので、私は「キラキラ輝く万華鏡のように見飽きない、いつまでも眺めていたいような美しく温かい物語」を想像しました。けれど、ページをめくるほどに増した思いは「私、間違ってたんだー」というものでした。収録されているのは、夢の欠片のような32篇の小さな物語です。美しい物語なのは確かなのですが、キラキラ輝いているのも確かなのですが、「宝石には温もりがない」ということを失念していると痛い目をみます。透明な悔いが胸に満ち、涙となって零れ落ちてできたような物語たちでした。2013/03/08
紅香
35
幼い頃、眠る前に読んでもらった。それはどれも短く不思議なお話。どこか淋しくて、ほわっと温かい。そのふわふわした余韻の正体が分からなくて何度も何度もせがんだ。心に刻むくらい。この32の物語はそんなあの頃のあまやかな場所へ、容易く連れてってくれる。。翡翠のような少し翳りのある不思議なお話。発光するようなイラスト。この本は夜限定。明るい昼中では雑音に紛れてチラッと物語が悲哀に満ちて美しく瞬いたことにすら気づかないでしょう。2015/10/29
nyanco
29
読みだすと一気に読んでしまう私ですが、この本はそうしてしまうのが、勿体なく眠る前や、お茶を飲みながらのひと時に、数篇ずつ読みました。とても短いお話にパステルカラーの淡い色彩のイラストがついた大人のための絵本。読むとじんわりしたり、胸の中がほっこりしたり…、本当に一気に読んでしまうのが惜しい一冊。文庫版を自分用とプレゼント用に欲しくなる癒される優しい本でした。2009/08/30
mntmt
27
とても短い物語集。どれも短いのに、心地良い余韻が残ります。詩のように美しい文章は、何度でも読める。オールカラーのイラストもとても綺麗に物語に溶け込んでいました。2016/07/07