内容説明
まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。―伊予松山出身の三人、無敵を誇ったコサック騎兵を破った陸軍の名将・秋山好古、その弟でバルチック艦隊殲滅作戦をたてた海軍の名参謀・秋山真之、そして近代短歌・俳句の開祖・正岡子規。それぞれの青春は、清新な時代の風をうけ、夢を大きくふくらませてゆく。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市生れ。大阪外国語学校(現・大阪外語大)蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。59年、新潮日本文学大賞学芸部門賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。5年、文化勲章受章。8(1996)年2月12日逝去
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感想・レビュー
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mitei
324
これが明治維新の雰囲気なのだなと実感した。平成の世から見ると隔世の感がある。2017/05/05
抹茶モナカ
54
明治時代を舞台に、秋山好古、真之、正岡子規を中心に、立身出世の楽天的日本を描く。時代小説は、あまり読まないので、史実を書き並べられると、ちょっとうんざりしてしまう。フィクションが混じると、丁度良い湯加減。でも、自分の知識と重なる筆記があると嬉しい。2014/09/03
ケロリーヌ@ベルばら同盟
52
欧米列強が虎視眈々と狙いを定める極東に浮かぶ小さな島国が、初めて『国家』という概念を持ち、世界の荒波に漕ぎ出した疾風怒濤の時代を描くにあたり、司馬遼太郎氏は、明治維新における謂わば負け組、佐幕であった伊予松山藩に生を受けた三人の男の生涯を軸に据えた。薩長の藩閥政治であった明治政府が、国力増強の為に、国民に遍く教育を受けさせるとした政策は、嘉すべきだろう。誰もが必死に学べば前途に道が拓けると信じられた時代。蒼天に浮かぶ雲を目指し、険しい山坂を一途に駆け上ってゆく若者たちの足音に心躍らせてこの物語を読む。 2020/01/19
youmar Jr.
43
正岡子規と秋山好古、真之兄弟の三人の上京して軍隊に入った秋山、予備校に入り勉強をして、病気がちの正岡子規のエピソードが、読んでいて心地よかった。 秋山好古は、自分の予備校で学んでいた外国語を生かし、フランスに留学。そして、その間日本の正岡子規は、病気になる。兄真之は、軍隊にはいっていった。 2話がたのしみだ。2020/09/16
geshi
25
明治期の日本の揺籃を、秋山好古・秋山真之・正岡子規の三人を通して語る一大歴史小説。枝葉末節やちなみにの話が多い司馬遼太郎独自の語りに、トリビアを楽しんだり、そこはいいよと思ったり。学ぶ金がなくやむを得ず士官学校に入り軍人としての道を目指す好古と、列強の気配を感じ自分から有利となるための戦いへと進んだ日本の姿が二重写しとなって見えてくる。一巻目は、未来への無限の希望と不安とを同時に抱える、3人にとって、そして日本という国家にとっての青春時代だった。2014/01/10