内容説明
オバァらの力で、村は沖縄でいちばん豊かになった。だが、実は絶対に知られてはならない大きな秘密があった―。復帰世代の作家が初めて描く沖縄戦。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
昭和45年(1970年)、沖縄県那覇市生まれ。平成6年、早稲田大学人間科学部在学中に『バガージマヌパナス』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。平成10年、受賞後初の長篇『風車祭(カジマヤー)』が直木賞候補になる。沖縄の豊かな伝承と、若い感性が見事に融合した物語世界で注目を集めている
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感想・レビュー
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daubentonia
9
“戦争”の残すものは、どうしてこんなに悲しいんだろう…。現実離れした設定ではありましたが、沖縄の抱える戦争や米軍基地の問題を改めて考えさせられました。住みよい村を夢見て戦争からの復興を目指した、マカト・チヨ・樹王がどうしてキャノン様を崇めるようになったのか?キャノン様の実際は?明らかになった時、純粋な想いに涙が出ました。『歴史を忘れないことと怒り続けることは同じじゃない。』とても深い言葉だと思います。2013/03/08
はる
8
かなり劇画的なところにはついていけなかったり ^^; もしましたが、池上作品ならではの沖縄の広大な自然や独特の時間の流れ方、超個性的な登場人物(笑)、迷信的なエピソードなどなどは大好きです。^^今回のストーリーも好みでした。読みながら『もう少し違うタッチだったら、ここで泣いてるだろうなー』と思ったことも多かったのですが・・・重い話をあえて軽く書かれたのかなー?と思ったりも。2010/12/10
naminnie
8
池上作品、案外どれも好きなのだけれど、その中でも一等好きだ!!現実離れしているけれど、愛と勇気がいっぱいつまった物語だった。今んとこ2010年1番。そして、2010年100冊目。2010/06/01
atyang
4
「キャノン様」と崇められている砲台と、その麓にある街に伝わる秘密を描いた作品。「ことぶき」!2011/07/03
スターライト
3
これまで読んだ池上作品(といっても2作だけだが)の中では本作が一番良かった。沖縄のある村を舞台に、マカトオバァとチヨ、樹王の3人の老人がある秘密を共有しながら”支配”しているところに、その秘密のかぎつけた地質学者を自称したアメリカ人、15年前にリゾート開発を計画したものの村の反対運動にあって撤退した財閥の娘が乗り込んでマカトオバァに挑む。第二次世界大戦で戦場となった沖縄の史実を巧妙に取り込み、少年たちの成長譚ともなっている。70年代のカルチャーもちりばめて思わずノスタルジックになる場面も。2024/10/07