内容説明
「十年後、僕は結婚を申し込みます」。見知らぬ少年の手紙にはそうあった。出会いと別れ、運命の転変、人が生きる拠り所とは何か?生きる勇気を与えてくれる傑作長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美雀(みすず)
47
数々の約束事をする事は、それを果たすまで死ぬ事は出来ない、生きていく事でしょうね。かつての恋人との間に娘が生まれていた事が解ったらその娘を影から見守るしかないと涙ながらに誓う。またあの約束の日に「飛行蜘蛛」を一緒に見てる若い二人がいたら良いなぁ。素敵なお話でした。2014/01/17
がいむ
33
主人公は54歳の男性。もう一人の主人公32歳の女性と交互に語られながら話は進むが、恋愛がらみではなくこの二人の接点はお向かいに住むご近所さん。人生にはいろんなことが起きるけれど、流れるような文章に、どんなこともあたりまえのように受け取ることができる。人に恵まれているということを、運というひとことで片づけず、やっぱりその人が作り出したもの。「正直で誠実でけなげなお方だから」と女友だちが言うところが心に残った。登場人物のいろいろな約束がかなえばいいなあ。わたしも「空飛ぶ蜘蛛」をみてみたい。2014/02/02
星落秋風五丈原
22
留美子は俊国と一緒に蜘蛛を見に行く事にする。「あの時計は盗品です。盗まれたのは1940年」 壊されたパテックの腕時計を巡る謎とは? 営業本部長西田を伴い台湾に赴いた桂二郎は再び翠英に会う事はないだろうと思う。出会いと別れ、運命の転変、人が生きる拠り所とは何なのか? 生きる勇気を与えてくれる長篇小説。2004/08/16
マリリン
15
自分の周りにいたら良いだろうなと思える人物を描いたと、あとがきにありました。仰る通り、高い志を持ち、人間関係にも恵まれ、金銭的にも何不自由ない生活を送る理想的な人物ばかり登場するので、そういう意味では物足りなさを感じました。でも、北海道や岡山の自然豊かな風景に心癒されました。2012/09/25
藤枝梅安
9
◆10年後の12月5日に「蜘蛛の飛行」を一緒に見に行きましょう、 という手紙をもらった留美子のその後の10年の中の後半の物語り。 キーワードは「約束」 ◆登場人物それぞれが「約束」を果たすために誠実に生きていく姿を描いている。 ベテランらしい落ち着いた話の運びの中にそれぞれの人物像が鮮やかに浮かび上がり、 一人一人の生活が織り成す物語りは現実味があり、抵抗なく読み進むことが出来た。2009/05/26
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