内容説明
不倫でもないのに秘密の匂いがする。愛を信じられない男と女。それでも出会ってしまった彼らの運命。すべてをかなぐり捨てた四人がゆきつく果ては…。待望の恋愛長篇。
著者等紹介
藤田宜永[フジタヨシナガ]
1950年福井県生まれ。早稲田大学中退。73年、パリに渡り、エールフランスに勤務、80年に帰国。86年の『野望のラビリンス』が小説の処女作。95年、『鋼鉄の騎士』で第48回日本推理作家協会賞を受賞。同年、『巴里からの遺言』で日本冒険小説協会最優秀短篇賞を受賞する。その後『樹下の想い』で恋愛小説に新境地を拓き、99年『求愛』で第6回島清恋愛文学賞を受賞する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
92
ご存知、小池真理子の旦那の直木賞受賞作。どうしても先入観があるせいか、小池真理子の世界とかぶる気がするが、よく似た作風のように思う。淳蔵に迫る美保子の姿は、ある意味、凄みがある。執念ともいうべきか。 2010/06/02
タックン
60
再読。直木賞受賞作。推理系でデビューしたが妻の小池真理子さんの直木賞受賞作(恋)に触発され恋愛小説を書いてようやく直木賞を取った作品。この作品を始め2000年代の藤田さんは大人の恋を渋く描いてて渡辺淳一よりグロくなくて読みやすい。この作品も不倫ではないけど秘密めいた大人の恋を切なく描いてる。 でも読む分にはいいけど4人の男女がクロスして関係を持ってたらリアでは濃厚で嫌だなあ。最近はまた探偵ミステリーに戻りつつあるので残念だなあ。他の作品も読みなおしたいな。2013/08/18
おいしゃん
45
【直木賞作品】著者初読み。ドロドロした関係なのだが、主人公が淡白だからか、あるいは描写が美しいからか、サラサラと読めた。時にはこういう、重い恋愛小説を読むのもいい。2018/05/04
団塊シニア
41
中年テーラー淳蔵と昔馴染みで恋のライバル昌平、そして個性ある二人の女性との難解な大人の恋愛小説という感じがする、淡々と物語は進んでいくが人間の身勝手さ、愛しさが上手く描かれており展開も面白い。2013/10/06
Atsushi
25
領分とは、領有している土地、領地とか権限・能力などの及ぶ範囲や勢力下にある領域のことをいうそうだ。男女の間では、昌平曰く「お前と佳世は愛の領分を分け合えるってことだ。」ってことで三角関係も認められるらしい。ウ~ン、難しい、自分は昌平、淳蔵とも年齢が近いのだが平凡に生きてきてしまったらしい。第125回直木賞受賞作。2018/03/11