内容説明
いま、一人残った愛子が見据える佐藤家を灼き尽くす因縁の焔の行方―。情念の奔流に押し流されつつそれぞれの生を駆け抜けたはらからへの熱き鎮魂の想い。畢生の大作、堂々完結。
著者等紹介
佐藤愛子[サトウアイコ]
大正12年大阪に生れる。甲南高女卒業。昭和44年『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞を、昭和54年に『幸福の絵』で女流文学賞を受賞。ユーモア溢れる世相諷刺と、人生の哀歓を描く小説およびエッセイは多くの読者の心をつかむ。平成12年、本作品『血脈』の完成によって、第48回菊池寛賞を受けた
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感想・レビュー
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佐藤ゅ
5
物語の後半、愛子が『シナがいなければ、自分ひとりなら楽なのに』と思う。シナが洽六の晩年に思った事と同じ…。『洽六さえいなければ、私ひとりなら』と…。 なんという無常か… そして最後、また同じことを言う… 『終わった…』。
decomo
2
まさに佐藤家の血なんですね。佐藤家男子のグウタラさは笑えます。そして、関わる女たちがみんな偉い。リアルに生きた人達。こんな大変な人生、私には無理!と思いました。佐藤愛子さんすごいです。2020/04/18
chi0926
2
上中下巻と飽きずに読破させる内容、構成、文章力に脱帽。充実した読後感。佐藤家の男達はその強烈さを放出しながら生きていたが、女達は内に秘めながら生きていた。シナの徹底した傍観者の態度、早苗が晩年に見せた割り切りと吹っ切れっぷり、愛子の達観と諦め。どれも女性が取りがちな選択肢だが、とにかく徹底している。個人的には、シナの「沈黙を貫く根性」「一定の距離感を保ち続ける根性」を少し分けてもらいたい。2011/12/18
よし
1
佐藤家4代の物語 読了する。佐藤紅禄「ああ玉杯に花うけて」からあの「サトウハチロウ 小さい秋見つけた」「佐藤愛子」のすざましいまでの愛憎。2025/01/06
デントシロー
1
佐藤洽六の血筋を引く男たちの凄まじいまでの放蕩ぶりが息子、孫、玄孫まで悉く書かれている。「血は水より濃し。」というがまさに真実であると思う。作者の佐藤愛子が自分を含め親族を第三者の立場から俯瞰して書いているが愛子自身の男運のなさも呆れる。愛子の再婚相手の誠二からの次から次へと借金の肩代わりなど事実か虚構か興味が尽きない。文章にリズムがあるのとストーリーが日常的なことなのでスラスラ読めてしまう。テレビのワイドショーを文章化して小説に仕立てある感覚である。洽六から始まる佐藤家の因縁は家庭環境だけではない。2015/09/10
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