出版社内容情報
生き神を祀る新興宗教の村で、両親を火事で失った少年。三十五年後にオゾンの匂いをきっかけに記憶が蘇り…。表題作など全十二篇
内容説明
人はなぜ忘れてしまうのか、あんなにも切なくて、あんなにも恐ろしい日々を…“オゾン”の匂いがきっかけで記憶が甦り、両親が焼け死んだ村を再訪した男が見たものは?待望の「記憶シリーズ」第三弾!珠玉のホラー短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぼる
16
「記憶シリーズ」3冊め。 靄がかかっていた過去の記憶が徐々に明らかになる。ほろっとするもの、ゾッとするもの、色々ある。 高橋さんのこんな作品をもっと読んでみたい。2017/08/10
みゃお
6
"緋い”につづく”蒼い”記憶 中ほどの数点は、わりとほっとするお話だった。 緩急があって こちらはこちらで、楽しく読んだ。2022/04/10
KJ
4
淡い初恋の記憶は悲劇を伴っても思い出す事で幸福を味わえる。悲しい過去も臆せず向き合えば救いを見出せる。恐くて棄てた記憶はトラウマとして残る。必死に消そうとする程に消えない。作家は書きたい言葉を嵌め込む為に物語を構築する。夢より凄い人間の想像力。確かに愛した記憶は喪失した後の人生を生きる糧に成る。生きる支えに成る嘘なら価値はある。物が呼び覚ます出生の真実と母の温もり。曖昧な記憶は誘惑する。欠落を埋めたい欲求が人間を突き動かす。直面する過去の真実は希望も絶望も与える。記憶が補完される事で確実に人生は前進する。2024/12/31
つちのこ
4
高橋克彦は好きな作家のひとり。『総門谷』シリーズのようなSFも好きだが、何といってもホラータッチの小説が一番だ。特に、『緋い記憶』『前世の記憶』と続く、記憶シリーズ。“怖さ”ではこれが最高。今回は12編の短編集となっているが、怖さ一番は、『幽かな記憶』。背中に冷水をかけられたような、“どっきん”ものだ。また、若くして亡くなった妻との夫婦愛を描いた『愛の記憶』は泣かせる。(2000.3記)2000/03/05
天城万太郎
3
『緋い記憶』と似た傾向の短編集。巻頭の夏の記憶はもっと展開して長い話にして欲しかった。表題作には期待したのですが、肩透かしをくらった気分です。盛岡にまた遊びに行きたくなりました。★★☆☆☆2018/12/27