出版社内容情報
隠居の日を楽しみに奮励する上野介の悩みは、最近人の名前を思い出せないことだ。好漢清水一学の恋もからめた討たれる側のドラマ
内容説明
清水一学の中で、大石内蔵助、という名前が、次第に大きくなっていく。どんな顔の男なのかも知らないのに、おかしな話だ。ましてやほかの赤穂浪士たちなど、顔も名も、何も知らない。討入ってくるかもしれない凶徒の集団―いわば、顔のない暴力である。おそらく、むこうもまた吉良上野介の顔を知らない。互いに相手を知らず、ただ世間の噂に動かされているのだ。吉良家小姓、好漢・清水一学が恋を捨て赤穂浪士に立ち向かう。討たれる側から見た元禄忠臣蔵。