出版社内容情報
幻の母よ何処。過去を引きずり、色気と憂いに満ちた半次が、岡っ引の娘小夜と共に挑む難事件の数々。江戸情緒溢れる傑作捕物帳
内容説明
女の中には『母』と『魔』が棲む、事件の底に潜む様々な『女』の貌。桃色の虚無を抱いた、無用の男・半次に忍び寄る不思議な事件の数々!艶に彩られた新感覚捕物帖。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
85
ひどく艶っぽい捕物帳である。 事件の背後に流れる女の怨念のようなものが 半次の心の底に潜む無常もあって 絢爛たる作風によく似合う。 事件を解くというよりも、心の謎を 解き明かす短編集であり、男と女の 魔性の縁を 描き続けた物語だった。2024/02/11
松井和翠
2
再読。やや時代考証に疑問があるが『顎十郎』〜『なめくじ長屋』の正統を継ぐ捕物帖の逸品と思う。やたらにエロティックな文体及び雰囲気と個性的なキャラクター陣で読ませる。特に貸本屋の息子・クロベェの造形は秀逸。本格ミステリとしては「童子は嗤う」「水中花」が良い。前者は都筑風の論理のアクロバットで魅せ、後者はある一手で全てを反転させる手際が見事だ。2011/03/03
読書家
1
何か物悲しい話、捕物にならない不思議の謎解きを十手持ちのお小夜、父親の佐助と半次、クロベイが解き明かす。2023/06/04
はっしー
1
エッセイしか読んだことがなかったけど、久世さんの美しくも怪しい世界に引き込まれてしまった。一字一句読み漏らさぬように、美しい日本語を追っていく。至福の時間でした。半次とクロベエ、良き御用聞きになりそう。多分ないだろうけど。再読したい一冊2022/06/28
kanamori
0
☆☆☆2011/10/20