出版社内容情報
元首相の嫡男でありながら、抑留先のシベリアで獄死した近衛文隆。その数奇な生涯と、謎に満ちた死の全貌を明らかにする衝撃作
内容説明
シベリアから届いた暗号「夢顔」の謎。父は元首相の近衛文麿、甥は細川護煕。日本を代表する名家の嫡男はなぜ極寒の監獄で非業の最期を迎えねばならなかったのか―万感の思いを込めて贈るノンフィクション・ノベルの金字塔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
min
4
近衛文麿の長男である近衛文隆(通称ボチさん)の一生を描いた物語。 前半は少し退屈、でも時代が激動するにつれてボチさんの境遇も厳しさを加速するあたるからページをめくる手は止まらず、通勤電車で涙しながら読んだ。 あまりにも純粋でまっすぐなボチさんにしか生きられない人生で、その最後はあまりにもあっけなく切ない。 基本的にたらればを考えても意味がないとはじゅうじゅう承知しつつも、それでもこの人が生きていたらと思わずにはいられないほどにチャーミングな人だった。2018/02/20
月夜
3
★★★★☆こういう人に生きていて欲しかった。若い頃の文隆の言い逃れっぷり放蕩ぶりはさすがいいとこのぼっちゃん全開だが、父のそばで、また国の仕事をし始めてからの彼の姿勢にはさすが!とうならせられた。人は苦難の時こその人の真の人となりが現れるというがまさしくノブレスオブリージュ(高貴なる者に伴う義務)というコトバが頭から離れない作品だった。2011/01/20
wearnotequal
2
元総理近衛文麿の息子の生涯。アメリカ、上海、満州を背景に彼の成長が描かれる。大戦後は一転ロシア国内を転々、理不尽な最期を迎える。激動の時代に揉まれる姿のみならず、ピンルーとの情愛もつぶさに描写されひこ込まれた。オススメ。2015/04/27