出版社内容情報
表題は初老の勤め人の寂寥をえがく唯一の現代小説。加えて時代小説二作と、作家晩年の心境をうつしだす随想・エッセイ等を収める
内容説明
藤沢さん晩年のこころ。初老の勤め人の孤独と寂寥をえがく唯一の現代小説。加えて時代小説の名品二篇と随想四篇。作家晩年の心境をつたえる澄明な文章。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
剛腕伝説
19
武家物2話、現代物1話、そして4篇のエッセイ。 若くして討たれた叔父の無念を晴らす「深い霧」。いつの間にか冷笑癖がついた捻くれ者の下級武士が、御家騒動で活躍した事がきっかけで昔の様な闊達さを取り戻す「野菊守り」。定年間近の中年の孤独を描いた表題作「早春」。どの話も藤沢周平の筆が冴える。 エッセイでは司馬遼太郎への尊敬の念を述べている。藤沢、司馬、両氏のファンである私には僥倖であった。文学碑に対して否定的な考えを持つ作者が、自身の文学碑を建てたいと言う教え子達に、固辞しつつも押し切られる話等興味深かった。 2021/02/13
鉄人28号
3
☆☆ 短編3作。「早春」は現代小説。惹き付ける要素に欠けた。藤沢周平はやはり時代小説が良い。「深い霧」は面白かった。「野菊守り」はあまり面白くなかった。文体はさすがに綺麗である。2016/11/25
小夜
0
まだまだ知らない言葉が沢山ありました。野菊守りとか素敵だったなぁ。あと藤沢先生の現代小説も収録されており、ぐっと身近に感じました。作品毎、それぞれの世界が精緻に描かれていて小説の中の事実に感嘆させられました。素晴らしかったです。2012/02/01