出版社内容情報
戦後数十年経ってから気づく家族や友人の秘密、街で出会った人とのはっとするような瞬間を捉えた、小説巧者の著者が綴る、名短篇集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
46
積ん読本の消化。初めて読んだ作家さん。人生の中の一瞬のゆらぎをとらえた12の短編集。戦争前後の昭和の時代が色濃く残っている作品が多い。どれも、劇的な展開はなく、淡々としていているが、最後の1行で悲しみや寂しさなどが共感できる。あとがきの著者の言葉「竹は節があるから強靭なのであり,直立した地下茎は,細いのに高く伸びても折れることはない。私が短編小説を書くのは、竹にとっての節に似た意味を持つから」も印象的。2020/05/07
山猫
17
「梅の蕾」のみ。医師側から描いたノンフィクション「無医村に花は微笑む」に対して、本作は村長の目を通した小説。村に溶け込もうと払った医師夫人の並々ならぬ努力を、村長は最後まで「趣味の山野草の採集」としか捉えていなかったのか……日本有数の僻地で送った19年を30ページに纏めてしまうのは乱暴だった気がする。2019/08/10
mashumaro
4
吉村昭の短編は初めて読みましたが、淡々と事実を述べる筆致は長編と同じと感じました。短い枚数の中で、その時々の心の動きがさざ波のように伝わってきます。物語の事件性や結末を深く語らず終わるため、読者の心に余韻を残します。その余韻は、ほのぼのとした温かいものであったり、釈然としないモヤモヤであったり。派手さはないけど静かに語りかけるような、そして、郷愁を感じさせるような味わいがありました。2019/08/22
yuki
2
珠玉の短編集でした。「梅の蕾」は言うまでもないのですが「父親の旅」は良かったです。吉村昭のまなざしの優しさがいいです。2016/08/27
一彩
2
あとがきより 「竹は節があるから強靭なのであり,直立した地下茎は,細いのに高く伸びても折れることはない」 当たり前のようで,深い2015/02/11