出版社内容情報
きつい労働と酒にあけくれる辰夫の日常に天女が舞い降りた。絶望を抱えた男女の交情を描く表題作他、再生の祈りに満ちた名短編集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shizuka
63
ずるいんだよな、もう。こんなに愚直で自己犠牲の塊で、人を信じて憎まないで惚れた女をとことん大切にして愛して、そんな男の人なんていないのに。でもどこかで信じている自分もいてさ。どんなに性悪な女でも純真な言葉で語られたらさ泣いちゃうよ。また信じてもいいのかなって思っちゃうよ。浅田さんの理想の愛の形がつまっているのかなあ。自分も嫌いでみんな嫌いで、人生に絶望してる女をさ、見返りなく愛す男なんて、今の道理というかセオリーから外れてるんだよ。それなのにぐっと心に迫って泣いちゃうんだ。ああ、この本がそんな男なんだな。2018/03/12
Shinji
16
ただただ素直に 良かったです。 言葉の紡ぎ方が とても綺麗でした。 その場面、状況、風景が すぐに思い描けましたので私にとっては美術鑑賞の様でした! 浅田次郎さん 他の作品も追いかけていきたいですね。2014/12/04
がるっち
14
表題作を含む7つの短篇集。確かにどれをとっても浅田節が炸裂してはいるのだが・・・、1つずつなんとなーーく何かに引っかかってしまう。「聖夜の肖像」こんな男いるの?ほんとにーーー?女もずうずうしい。なんだか時間をかけずにさらっと仕上げた感を持ってしまった。90年代後半の作品。子供の頃に中国から逃げ帰った男が捨てたと思い込んでいた気持ち、思い出が、心の奥底からしみでてきた、「琉璃想」が良かった。2011/09/20
はかり
10
浅田らしい短編集。こんなに良い女や男がいるものなのか。切ない、哀しい愛の物語。七編あるが甲乙つけがたい。浅田は長編も短編も素晴らしい。もう言うことがない。2015/10/24
スノーシェルター
10
鈴井さんが映画化した「銀色の雨」を読みたくて、図書館で借りた。原作の方が良い!なぜ今まで浅田さんの作品を読まなかったのか、後悔。それぞれの心情が丁寧に書かれていて、なんとも言えない気持ちになった。2010/11/17