出版社内容情報
項羽、劉邦ら秦末英傑に影のごとくよりそった友、臣、敵。かれらの眼に映ずる覇王のすがたを詩情あふれる文章でえがきだす連作名品
内容説明
項羽と劉邦。友、臣そして敵。かれらの眼に映ずる覇王のすがたを詩情あふれる文章でえがく五つの物語。作者最愛の名篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊未
1
漢の高祖を取り巻く人々の中で、最前列ではない人物から5人を取り上げていて、即位後の粛清から逃げて復帰できなかった盧綰以外の希布、陸賈、斉王、叔孫通は最終的に栄達した人々。悲劇の主人公ではない人を取り上げています。斉王はおそらく元ネタが少ないのでは。この様な状況で寿命を全うできるのは才覚のみの問題ではないので、適度に母親の影が薄かったのでしょう。2015/08/31
張
1
『逃げる』は、項羽を守りきると最後まで運命を共にしようとしたのにまさかの展開。何かが彼を守ろうとしたような、導いたような。『長城のかげ』は、劉邦にとって彼が大切な存在であったか。けれど、皇帝という立場になって何かが変わってしまった。盧綰には最後まで劉邦を裏切る気持ちは無かったと思う。けれど、一方で彼にも守る家族がいたわけで・・・。『石径の果て』は、・・・印象が薄い。『風の消長』は、こう男としてもっと何かをして欲しいと・・・。夏侯嬰がかっこよすぎて惚れてしまいそうになった。『満点の星』は、文字だけじゃ儀式の2012/10/25
Hidehiko Shinozaki
1
漢の高祖・劉邦の時代の、いうなれば脇役にスポットをあて、その人物達の視点で描かれた短編集。 歴史という観点からは脇役と呼ばれても、時代をつくっていくうえでは脇役など存在しないということですかね。2012/10/05
巨峰
1
劉邦をめぐる人たちが主人公。宮城谷作品の特徴は、主人公がうまく描けずに、その周りの人たちが生き生き描かれることにあると思う。そういう意味で、これほど、肉体の伴った劉邦を描いた作品はなかった。
ゆきまさくん
0
中国の歴史で何が好き、どの時代が好きといわれれば、昔から「項羽と劉邦」の時代。 この時代に関するいろいろな作家のものを読んできた。 この宮城谷昌光氏の「長城のかげ」は、前漢の創業期に劉邦のまわりにいた人達に光をあてた番外編。 昔からの私の愛読書のひとつ。 これまで何度も折を見て読み返してきた。 劉邦の創業期の功臣、武将達のほとんどが、天下統一後の前漢で粛清される。 過酷な現実を読みときながら、たまには遠い時代に思いをはせるのも悪くはないかなと。2017/04/27
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