出版社内容情報
占領下釜山の競技大会。審判に不服を唱え、「天皇制打倒」を叫んだ生徒を探すうちに、釜山関係の日本人のそれぞれの戦後が甦る
内容説明
『奥様とお二人で静かにお暮らしのあなたから、半世紀も昔の記憶をお借りすることに躊躇を覚えましたが…』釜山公立中学時代の同級生からの突然の手紙が主人公の過去を甦らせた。昭和十五年、大新町の公設グラウンドで開かれた四中等学校合同の「戦力増強競技大会」。朝鮮系学校の生徒が採点の不公正を唱えて巻き起こったあの事件…。表題作ほか、真摯に過去と向き合う人びとを描いた秀作短篇集。