出版社内容情報
転落した車の運転席にはハンドルに手錠でつながれた男の死体が。南部の田舎町の少年の素朴な目は真犯人を求めつつ世の正邪を見る
内容説明
意志をもつ自転車、百六歳の黒い“女王”。苦しみ闘い冒険するときぼくたちを助けてくれたある不思議な力。しかし底なしの湖には最後まで謎が…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mataasita
3
夏休みの始まりの空のシーンにびっくりした。少年時代の感覚思い出した。ナチスと夢がつながって、父親が尊厳と誇りを取り戻す、差別との戦いやらなにやらもういろいろ絡み合って、でも最後までわかりやすい。えっ何だっけと前をめくることなく読み切れる。友達に勧めたい小説の1つ。そろそろ再読しようかな。2018/07/25
リュミエール
2
まず、今作の一つの大きな軸となっていた殺人事件は、最後まで展開が見事でした。また、冒険に満ちた日々を過ごす中で、愛するものとの別れを経験し、時代の変化の波を感じ、世の中の暗部にも触れたコーリー。素晴らしい友だち、立派に範を示し、愛情深く教え導いてくれた両親、愛すべきゼファーの町の人々に囲まれ過ごしたコーリーの少年時代が、眩しく、尊く、愛しく、またノスタルジックで物悲しくもあり、いつかまた、ふと帰ってきたくなりそうです。2024/12/05
とらやん
2
レイブラットベリーへのオマージュにミステリーをプラスしたもの。ノスタルジーとミステリー。よく出来ており、もしかしたら、ブラッドベリーもこう言うのを書きたかったかもしれないね。2024/03/18
西村章
2
邦訳刊行直後の1995年に読んだときは、『このミス』のアンケートで1位に入れた(と思って調べてみたら、2位にしていた。1位に選んでいたのは『ハイペリオンの没落』だった)。10年後に原書を読んで、やはり傑作だと思った。そして今年、また再読し、その思いをさらに強くした。南部ゴシックという米国独特の文学形式が産み落とした、この豊穣な物語のなかには、すべてのひとの少年時代がある。普遍性とは、そういうことだ。2014/01/30
サンボ
1
少年時代なら体験出来るかもしれないものがたりの数々を詰め込んだ、まるで宝箱のような本。加えて作家になるためのメッセージにあふれています。たとえば作中、ザ・レディと呼ばれている、魔法の国の女王ともいうべき女性が主人公にこう言います。「聞いたこと、見たこと、感じたこと、考えたこと、話したこと、出会った人を忘れずに心に書き留めておきなさい」2018/11/15