出版社内容情報
私にとって母はどういう存在だったのか?誰もが抱える日常の主題を徹底的に追求し、渾身の力で切り拓いた現代女性文学の新地平
内容説明
私にとって母はどういう存在だったのか。誰もが抱える日常の主題を徹底的に追求し、渾身の力で切り拓いた現代女性文学の新地平。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
橘
8
母母母……母と娘はこんなにも強く結び付くものなのかな誰でも。。2020/08/10
あ げ こ
4
「私」が語り続ける記憶が映し出すものは、二人きりの母娘であった自らと母の姿、そして、同じ時の中にいながら、それぞれが違う繋がりを選んだ、幾つもの母と娘達の姿。両者の間に生まれた多くの悲哀、葛藤。何一つ逃さず掬い上げ、その思いを紡ぐ。陰影を語る言葉さえ、その温度や感触まで、しっかりと抱き締めたもの。不器用さを認める心が愛おしい。娘が母に語り続けるすべての記憶、すべての問いはやがて、柔らかな光となる。矛盾や孤独まで優しく包み込むような、温かな光が誘う、微睡みの心地好さ。安堵の中に漂う哀感の色。離れ難い余韻。2014/02/08
amanon
3
母と娘。同性同士であるがゆえ、ある部分では理解しあいながらも、違う部分ではどうしても分かり合えない、時には言いようのない憎しみさえ抱いてしまう。それでも最終的には離れられない…主人公であり語り手でもある律子とその親友史子を主な軸として、時に複雑に交差する母と娘、あるいは男と女。中盤でかなりだれて、正直「もう少し短くしても良かったのでは?」という気にもさせられたが、姉妹のようにして育った史子の従姉妹清子の死からラストへの流れはかなり読み応えがあった。そして過去と現在が混在する最終章の大円団は圧巻。2016/05/30
レンヌ
1
律子と史子、この2人の語り手が変わるのと、時間が行ったり来たりするので時々内容が混乱してしまって、読むのにかなりの時間がかかった。 話の最初から最後まで母と娘の話。母と娘は、例えば父と娘、父と息子、母と息子とはちがう何か特殊なな繋がりがある。それは人類が母と娘さえいれば絶滅しない位に強い繋がり。私ももうすぐ90になる母に対する感情は何か特別である。ただ自分の娘には私がそんな重い存在であってはいけないな、思う。2022/11/14
渡邊利道
1
「次々死んでいく母親たち」の小説。二人の女性を中心に(片方が「わたし」)、それぞれの母親、そのほかの家族(といってもほぼ人格として陰影を与えられいるのはすべて女性たちだ)とのかかわりを大河小説風に描いた長編。詩的な一人称と、「わたし」をふくむ複数の視点が交錯する三人称の不均衡な2パートで語られる。2016/09/09