出版社内容情報
官途に精励し軍医総監にまで昇りつめた鴎外。飽くなき創作意欲で文豪の名を恣にする鴎外。二つの像を独自の視座から照射する評伝
内容説明
官途に精励する軍医総監、名声を恣にする明治の文豪。相反する鴎外像が結ばれる地点を求めて遙かに旅をつづけた著者―。その時代を考証し、環境を想像し、実作の方法を解きあかすうち静かに共鳴してゆく遺作評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
讃壽鐵朗
3
鴎外の著作で、阿部一族についで、澀江抽斎もその孫、保氏の書いたものの殆ど引き移しであるとは驚く。しかも、伊澤蘭軒、北條霞亭までもがそれに似た書き方であるという。 清張の資料探索の正しきを認めれば、これまでの鴎外研究者達は全て虚偽の評論を為していたことになる。清張のこれまでの周到なる資料収集は有名な事実だから、まさか誤りはないであろう。つまり、清張はあからさまには云っていないが、晩年の歴史物と云われているものの殆どは、原作を単に鴎外の語彙に直した翻案物であって、とても創作とは云えないのだ。2013/11/12
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