出版社内容情報
エイズをめぐりさまざまな分野で真摯なアプローチがなされるなか、その中核を占める問題作がついに登場。もはやこれは文化的事件だ
内容説明
1993年度ピュリツァー賞、トニー賞受賞作。エイズ時代の黙示録。「過去四十年間で最高の舞台」「アメリカ演劇の頂点」全米を震撼させた二十世紀最後の問題作。トニー・クシュナー・インタヴュー、キーワード解説付き。
目次
第1幕 悪い知らせ―一九八五年十月~十一月
第2幕 試験管の中―一九八五年十二月~一九八六年六月一月
第3幕 まだ無意識ながら前進の夜明け―一九八六年一月
この劇を理解するためのいくつかの事柄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユーカ
6
20代中ごろと最後、二度の辛い時期を救ってくれたのがこの芝居だった。今回は脚本に救ってもらった。舞台は1985年のニューヨーク。副題のとおり、ゲイとエイズ、薬物依存、そしてタイトルにある「天使」の物語。ひどい偏見がある、迫害がある。だけど個人同士の語り合いで、それは乗り越えられていく。そして、死の恐怖と愛の葛藤がある。いくつもの階層があり、それが時として交差する様は、物語を愛する全ての読者に至福を与えるだろう。残念なことに和訳されているのはこの1部だけ。2部「ペレストロイカ」は洋書で読むしかない。2014/08/21
メルコ
5
ナショナルシアターライブでの上演に合わせて手に取る。90年代はじめのニューヨークを舞台に、LGBTと周囲の人間が抜き差しならない状況に飲み込まれていく。セクシャリティー、国家権力、人種、そしてAIDSといった様々な問題を、ときにシリアスにときにファンタジーに綴っていく。日本人にはわかりにくい表現もあるが、圧倒される力がある。A・ガーフィールドらが出演している舞台は、実力のある俳優陣に、絶妙に転換されていく舞台装置など目が離せなく鳥肌が立つほど素晴らしかった。鑑賞のために東京まで出ていく価値のある舞台だった2018/08/06
太田康裕
2
圧倒的な物語。 あまりにも膨大な作品世界で付いてくのが精一杯なのだけど、だからこそ面白い。 第1部というよりただの前編なので文藝春秋はいい加減第2部も出して欲しい。(いや、別にハヤカワ演劇文庫で新訳でも良いと思うのよ…同じアッカーマン演出の別カンパニー上演で絶賛された訳とかあるハズだし)2018/03/06
まろ
2
訳者の言っていた「饒舌」という形容がぴったりだった。演劇でみてみたいなぁ。2013/04/03
nightowl
1
アイデンティティに迷うアメリカ人男性たちのお話(女性たちは紋切り型すぎて微妙...米作品だと若いキャラクターは何故いつも情緒不安定なのか?)。各々の問題を積み上げさあどうなる!?と思わせた所で終わる。正直そりゃ無いよ、な気持ち。こじらせたインテリゲイの苦しみを書いた「真夜中のパーティー」に比べると、同性愛者の問題を普遍的に提示している点は評価。新国立劇場で上演決定(https://www.nntt.jac.go.jp/play/news/detail/13_021210.html) 。次は第二部の翻訳!2021/12/14