出版社内容情報
裸一貫からニューヨークを陰で支配する実力者となった“ダッチ・シュルツ”に憧れ、ギャングへの道と人生を学んでゆく少年ビリー
内容説明
野球選手でも、映画スターでもなく、ギャングのように世界を支配したい。1920~30年代にニューヨークに君臨した実在のギャングのボス“ダッチ・シュルツ”の懐に入りこんだ少年は、そこで学んだ。悪と人情、打算と誇りつまり人生そのものを。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
26
反社の使い走りで誇りを持つような少年なんて嫌悪しかないが、フィクションならどうか。実在のギャング、ダッチ・シュルツをスターの如く崇め、その世界に飛び込んだ少年が見たものとは? まやかしの魅惑、身の毛のよだつ凄惨な殺人、野心と恐怖。これがエンタメ的な展開もなく、フォークナーやクロード・シモンとも比較され得るような文体で長々と具体的に、細部を疎かにすることなく描かれゆく。裏で一体何が起こっているのか、読者には定かでなかったりするのだが、ミステリ要素もない。極めて抒情的に綴られたアメリカ犯罪史と言えようか。2021/12/29